我 ら 白 鯨

07



学校へ登校すると校門の前には多くの報道陣がいた。
あれはきっとオールマイトへの取材陣だろうが、学校の前に良くもまぁあれだけ群がるものだ。
登校する生徒の邪魔になるということが分からないんだろうか。



「あ!雄英の生徒さんですね!
質問いいですか!!ってうわぁ美男美女!!!」

「んぉ?質問??」

「エース行くよ。相手にしない」

「えーでも」

「じゃあお一人でどうぞ」

「あー!待てって!行くってば!」



置いてくなよなぁ!とエースさ私に後ろから垂れかかってくる。純粋に、重い。




















チャイムがなり、相澤先生がやって来ると相澤先生は昨日の戦闘訓練のVTRと成績を見たという。
やはり担任にも情報は行くらしい。
それを見ての感想として、爆豪勝己と緑谷出久が注意をされていた。



「さてHRの本題だ…急で悪いが今日は君らに…」

((((何だ…!?また臨時テスト!?))))

「学級委員長を決めてもらう」

「「「「学校っぽいの来た━━━!!!」」」」



……このクラスのテンションが、たまに分からない。
学級委員長ってそんなにやりたいことなのだろうか。
みんなは全力で挙手をして主張している。



「静粛にしたまえ!!」

「「「「「!」」」」」

「"多"をけん引する責任重大な仕事だぞ…!
『やりたい者』がやれるモノではないだろう!!
周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…!
民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案!!!」

「そびえ立ってんじゃねーか!!なぜ発案した!!!」






「ははは、面白いわ」



なるつもりなど毛頭ないため、完全に傍観に決め込んでいた私はみんなのやり取りを見てただ笑っていた。
ここから見ているとみんなのことがよく見えるから実に面白い。
みんなはやりたいようだが、どうやらこのクラス内でやるつもりがないのは私と焦凍だけなようだ。
焦凍は手を挙げていない。



とりあえず、飯田天哉くんの発案により投票でやることになったのだが。



「僕三票━━━━━━━!!!?」

「!!誰かが僕に入れてくれている!!!?」

「え?それだと飯田自分に入れてねぇの?」

「うっ、そ、それは……」



そうして決まった委員長は緑谷出久、そして副委員長はモモに決まった。



「悔しいですわ…緑谷さんに負けて」

「まぁ、仕方ない」

「海砂さんの名前がありませんでしたし、誰かに投票されたんですね海砂さんは」

「ええ」

「やりたくはなかったんですか?」



午前の授業を終えた私たちはいつものように食堂へ向かっていた。



「そうね。どちらかと言うとやりたくないわ。
なったら放課後とか色々ありそうだもの。
放課後は予定が立て込んでるから困るのよ」

「そうなのですね」



食券を買って、並んで、頼んだものを貰うとまた私たちは座るところを探す。



「あ。海砂さん、あちらにA組の女子の皆さんのところがありますからあちらに行きません?」

「ん?ああ、…………あー、ごめん。
モモ今日私やっぱり別でもいいかしら」

「え?」

「ごめんね、急に」



突然の申し出にモモはキョトンとしつつも、承諾したので私たちはそこでわかれ、私は、あるテーブルに向かった。



カタン



「相席失礼?焦凍」

「………海砂か」

「午前の授業お疲れ様」



席を探している途中、私は焦凍を見つけたのだ。
一人、冷たい蕎麦をすする焦凍を。



「蕎麦なのね。美味しい?」

「ああ。美味い」



いただきます、と挨拶をして私も昼食に手をつけ始める。



「……………お前」

「ん?」

「海砂は、戦い慣れてるよな」

「…まぁ、そうね」


突然何の話かと思ったが、どうやら焦凍はこの間の戦闘訓練のことを言ってるらしい。
あまりにも脈絡がなさすぎで一瞬理解できなかったが、直ぐに何の話か理解し、言葉を返す。



「なんでだ」

「なぜ…ね。
まぁそういう環境下であることは間違いないわ」



必ず毎日体は動かすようにているし、時間があればエースやサッチと手合わせをする。
ごくごくたまに親父まで入ってきて親父VS私たち3人で挑むけれど言わずもがな負けるのだ、私たちは。
本当、親父ってば強すぎ。



「そういう環境って…お前もヒーローの子供とかか?」

「?お前もってことは、焦凍も?」

「気づいてなかったのか?」

「ええ。知らなかったわ」



焦凍はどこか驚いた顔をした。
彼は曰く、知っていたから自分を挑発するようなあの言葉をかけてきたのだと思っていたと言う。



「やだ、違うわよ。そういう事じゃないわ。
ただ焦凍の視野が酷く狭そうだったから喧嘩売っただけで別に焦凍の家族事情は知らなかったわ」

「………そうだったのか」

「期待に添えず悪かったわね」

「いや」



うん。今日もランチラッシュのご飯は美味しい。
今日は生姜焼きだ。
この米がすすむ味付け、本当最高だ。



「……俺の父親はエンデヴァーだ。知ってるだろ」

「!…へぇ、大物ね」

「お前は」

「白ひげ」

「!?」

「血の繋がりはないわ。でも、家族よ」



うちの家族はみんな血縁関係はない、養子縁組なの。と笑えば焦凍はそうなのか。とお茶を飲む。



「確か、白ひげのサイドキックのサッチも白ひげの息子なんだよな」

「ええ。サッチは私の兄よ」

「………白ひげに鍛えてもらってるからあんなに強いのか」

「違うわよ?」

「…?」



蕎麦をすする焦凍が顔を上げキョトンとしている。
あら、可愛い顔。



「親父は私たちに直接的な指導はほとんどしないわ。
暴れ足りなくて相手しろって言ってくることはあるけど、いつもは子供3人だけで鍛えあってるだけ。
自分で体鍛えて、時間があけば手合わせして。
思ったことを言い合って。ただそれだけよ」



サッチもエースも私も、隊長格しかいない為相手の動きへのダメ出しはしっかりとできるし、相手の動きを見る余裕もあるのだ。
だからこそ出来るやり方だ。



「…3人??」

「ああ、弟がいるの、1人。
弟と言っても同い年よ。B組にいるのよ」

「2人揃って雄英のヒーロー科か。優秀だな」

「弟のほうはそうでもないわ。
戦闘に関しては優秀だけど、頭の出来はそうは言えないわね、間違いなく」



なんだか、焦凍と話すのは落ち着く。
私は元々そんなにはしゃぐようなタイプでもないし、たまにはしゃぐものの、常にエースみたいなタイプといるのは正直疲れる。
エースは家族だから全然いいのだけど。


そんな時だった。
構内にけたたましく鳴り響くサイレン。
ウウ〜〜〜〜〜〜!!!!と嫌な音が私の耳を刺激した。



「…なに?」

「…」




《セキュリティ3が突破されました。
生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください》



放送で話されたのは、校内に侵入者が入ったというものだった。
私は瞬時に見聞色の覇気を使ってみると、不自然に気配が集まるところを見つけた。



「………正門??」

「海砂、俺らも早く移動するぞ」

「待って」

「?」



もっとしっかり感じて。集まってるアレは何。



より集中して覇気を使うと、見えたのは朝の報道陣だった。



「!…焦凍、避難する必要ないよ」

「…どういう事だ?」

「どうやら侵入してきたのは朝門の前にいたたくさんの報道陣よ。それもうじゃうじゃね。
それをマイク先生と相澤先生が対処してるわ」

「………なんで分かるんだ?」

「ふふ、秘密。でも嘘はつかないわ。
こんなところで嘘をつく必要はないもの」



それに、今避難したら大変な目に合いそうだわ。と階段のほうへと目をやる。
向こうでは生徒たちによる迅速すぎる避難で階段は人で溢れかえっている。
あれに飛び込んでは下手したら怪我をするだろう。



「…………信じていいんだな」

「信じるかどうかは自分で決めなさいよ」

「…………俺も蕎麦食う」

「どうぞ?」



ガランとした食堂で、私たちだけがのんびりと食事をしていた。























委員長はやっぱり飯田くんが良いと…思います!

あ!良いんじゃね!!飯田 食堂で超活躍してたし!!

何でも良いから早く進めろ…時間がもったいない



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