「面白い…面白い余興じゃ…」

「っ」




私は淀の方様に後ろから抱きしめるような形で身動きも取れず、捕まっていた。
女の力ならばと思っていたが、淀の方様の私を捕まえる力はただの女人の力とは到底思えないほど強い。
やはり妖怪なんだということを痛感する。
これでは逃げるに逃げられない。




「ここまで魅せる役者も珍しい。妾に歯向こうた妖は百年振りじゃ」




ほほほ、と淀の方様はそれはそれは愉快だと言わんばかりに笑いながら私の髪をなでつける。




「ワシの女に触んじゃねぇ!!」




ぬらりひょんが駆け出した瞬間、突然現れた無数の何かにぬらりひょんの身体は至る所を刻まれ、崩れ落ちた。




「ガハ…」

「ほう…この女に惚れているのか…
この芝居は本当に奇想天外じゃ。
この姫、妖を誑かす力を持っているのか」




くいっと顎を持たれ、朧は淀の方様を睨みつけた。




「ますますその生き胆、喰ろうてみたくなったわい 」

「朧姫ぇぇぇぇ━━━━━━━━━!!!」




向かっていけば行くほど、淀の方様の尾にやられた。
脇腹を抉られるようにしてそれをくらったぬらりひょんは顔を歪めその場にまた、伏す。




「ガ…………」

「芸がないのう…一方的に向かってくるのでは。
少しはやるかと思っていたらお前もそこらの凡百の妖と一緒か。これは『余興』じゃぞ……楽しませてみろ」

「ぐ………が……………」




ぬらりひょんの血が、畳を汚していく。




「お前にはこの尻尾の数が見えるか?
わらわも数えてはおらん…
わらわの『転生』した数と同じじゃ。
刃向かってくる血の気の多い妖に反応するようになった」




てん、せい…だと…?
ならば、この妖怪は幾度となく、こうして転生を繰り返し、そして"自分"を繰り返しているのか?
私もまた転生とやらをしてしまった身だからこそ、思う。
こうして何度も何度もするなど……気が狂いそうだ。


淀の方様が言うように、刃向かうものに反応するというのは本当のようでぬらりひょんが刀を握った瞬間に動き出すその尻尾。




「ほれほれ、お前の惚れた女を頂くぞ」




その声色は童が鞠をして遊ぶような弾んだもの。




「踊れ、死の舞踏を。
妖の血肉舞うのが演目ならそれもよかろうて」




尻尾についてるだろうぬらりひょんの血が、飛ぶ。
これではあまりにも一方的すぎる戦いだ。
いや、戦いにすら、なっていない。




「っ、妖…!!」




そばに駆け寄りたかった。
その傷を、今すぐにでも治してやりたかった。
けれどそれをみすみす許すわけもなく…



「おっと…だめじゃ。
能力は知っておるぞ…そういうのはつまらん」




抜け出すことが出来なくて、痛感する。
私は妖怪の前では、無力だ。
悔しくて悔しくて、涙が出てしまう。




「なぜだ…なぜこのような無茶をする!!」




お前と知り合って、長い時を過ごしたわけではない。
たかが数日程度。ほんの顔見知りのようなもの。
なのに、なぜ。




「私には…私には貴様がわからん!!
なぜ私などの為にそうも血を流す…!?
なぜ血を吐く!!」

「カワイイことを言うのう朧姫…いいかぇ?
世の中は人でも妖でも『カシコイ男』は大勢いるのだ」




そんなこと、知っている。

カシコイ男も。
卑怯な男も。
キタナイ男も。
真っ直ぐな男も。
いろんな男がいることなど、全て知っている。

それでもなぜ、お前は血を流し、苦しみ、己よりもずっと格上であろう者に挑んでまで私に手を伸ばす。




「………男を知らんな」




男など知るものか。
男などこの世において最も汚い存在として前世では教えられ、実際にその汚さを知った。
男は嫌いだ。





なのに、あの男だけは、嫌いになど…なれなんだ。





「初めて知った男があんなバカで愚直で…カワイそうに。そして…それが最後の男なんじゃからな」

「……朧姫…ワシはお前の目に……どう映ってる?」




ぬらりひょんは、ふらつきながらまた立ち上がった。




「やはりそいつが言うようにバカに映るか…?」




お前が、バカ…?
お前よりバカな男など、この世にもっといるだろうに。

私は喉がひっついてしまったかのように上手く声が出ず、それゆえ頭を横に振った。




「あんたのことを考えるとな……心が…綻ぶんじゃ…」




ぬらりひょん…?




「例えるなら『月』…美しく…儚げで…
それでも力強い光を放ち見る者の心を全て奪う
…そして闇行く者の道を照らし導く」




どこかうっすらと笑みを浮かべるぬらりひょんに、朧はなんとも言えぬ感情が込み上げた。




「あんたがそばにおるだけできっとワシの周りは華やぐ…そんな未来が見えるんじゃ」

「み、らい…」

「なのに……あんたは不幸そうな顔をしていた。
妹の前では強い姉を演じていても一人になれば息もできねぇような苦しい顔をしていた」




ぬらりひょんはずっと私たちを見ていた。
私しか知らぬことさえもぬらりひょんは知っているのだ。
それに、私は唇を噛んだ。




「ワシがあんたを幸せにする……
どうじゃ、目の前にいるワシはあんたを幸せに出来る男に見えるか?」




鼻の奥がツンとして涙が流れ出た。



「フハッ…見えんだろうな…ワシはあんたにカッコイイとこを見せつけてほれはせにゃーいかんのにな…」




こちらを見据えたのアイツの纏う空気が変わった。




「あんたに溺れて、見失うところじゃった」




ゾワリ
背を走ったのは、なんだろうか。
今のが何なのかわからないが、今わかるのは…
私はぬらりひょんに気圧されたということ。




「そろそろ返してもらうぞ、羽衣狐」

「!!」




『羽衣狐』
それが淀の方様の妖怪の名前か。




「行くぞ。ここからが闇────



妖の………………本来の戦じゃ」




その瞬間、ぬらりひょんの姿が消えた。

あぁ、姿を消すのが…ぬらりひょんの力なのか。
そう思っていると、妖怪である淀の方様には居場所がわかるようだが何かに苦戦していた。
さっきまでの流れるような動きではなく、無理に尾を動かしているような。

尻尾が目の前の何かを弾くと、ぬらりひょんと持っていただろう刀が飛ぶ。




「同じことを!!!」




目の前で起っているのに。
目の前で何かが起こっているはずなのに、私には何が起こっているのかわからない。

しかし次の瞬間には私は淀の方様の腕から解放され、淀の方様の顔には大きな刀傷を負わせられていた。




「ガッハ…が、ぐぅ…」




どく、どく、と斬られた傷がやけに痛むことで普通の刀ではないことに気づいた羽衣狐。
よろけながら、羽衣狐はその刀はなんだ。と聞くもその質問の答えが帰ってくる間もなく、羽衣狐の顔からおびただしい何かが天井を突き破り、抜けてゆく。




「おおおおおおお!!!ぬ…ぬけてゆく!?
こ…これは…ワラワの妖力が抜けてゆく!?」




なんとも禍々しく、そしておびただしいあれは羽衣狐の妖力だった。




「まま待て…どこへ行く…戻りやああぁぁ!!
何年かけて集めたとおもうとるぅ━━━━!!」




突き破って抜けていった妖力の後を追うように羽衣狐もその穴から上へと出て行った。
そんな中ぬらりひょんは目的の朧の名を呼び、探す。




「総大将!!ここはオレ達に任せろ!!」




牛鬼の声に振り返ると、牛鬼のそばに朧がいたことにホッとするものの彼の言葉に耳を傾ける。




「あんたはあいつを追え!!
とどめを…刺しにいけ━━━━!!」

「牛鬼……!!まかせたぞ!!」

「待て!!行かせんぞ━━━!!」




総大将の邪魔をさせる奴良組ではない。
後を追おうとする京妖怪の行く手を阻む奴良組妖怪たちに京妖怪たちは顔を歪めた。



その中、私は何か嫌な予感がしてたまらなかった。
何だこの嫌な予感は。
拭いきれぬ、不安。




「っ、牛鬼と言ったな!」

「姫様?」

「今すぐ私を抱えてぬらりひょんの後を追え!!」

「な、何を!?」

「いいから早くしろ!!!」




打ち掛けを脱ぎ捨て近くにあった刀を拾い牛鬼に強くそう言えば彼は押し黙り、静かにわかりましたと言って私を抱えた。
ぬらりひょんのあとを追うように、私たちもまた上へ上へと駆け上がる。




「姫様、なぜいきなり総大将を追うなどと」

「…嫌な予感がする」

「嫌な、予感…?」




あやつのことだ、死ぬようなことは無いだろうが…
それに等しいような大きな怪我をするのかもしれない。




「それは総大将が、やられると…!?」

「違う、そうではない。ただ、それに等しいような……
あの羽衣狐とやらならばそれこそ生き胆でも取ってしまうのではないか」

「!」




なにかと、生き胆にこだわる妖怪だ。
生き胆を喰らい妖力を貯めてきたのだろうからこそ、抜けた今ぬらりひょんの肝を狙う理由は当然。




「妖怪にとって肝を取られることは人と同じく死を意味するのか」

「いえ、妖ならば肝を取られたくらいでは死ぬことはありませんが…大幅に寿命を削られます」

「寿命…」




ならば、やはり行かなければならない。




「あの男を傷つけられて、私とて頭にきているのだ」

「!…朧姫様?」

「あんな女狐においそれとあやつの肝をくれてたまるか…!」




ゾクリ
牛鬼は思わず己の抱える姫に畏れを抱いた。
朧から放たれる、畏とは全く異なる何かの気。
それは恐ろしく高圧的で、頭を垂れたくなるようなもの。




──これが、総大将の心底惚れた姫……




ただの姫とは全く違う。
美しく、そしてとても強い姫。
我が総大将の隣にこそ相応しい気高き姫だ。




「着きましたぞ朧姫様!」

「っ!」




瓦の上に降り立ち上を見上げると、てっぺんへと駆け上がるぬらりひょんに今にも襲いかかろうとしている羽衣狐の尻尾が見えた。




「武装色硬化」

「姫様?」




持ってきていた刀を武装色の覇気で硬化すると、それを思い切り振りかぶりぬらりひょんのほど近くに向かって刃先を向け、投つける。
投げられたそれは女…ましてや姫が投げたとは思わぬほど速い。

それに牛鬼は目を見開くも、その瞬間に羽衣狐の尻尾がぬらりひょんへと向かい、その刀と尻尾がぶつかりあった。




ガキィンッ




肝を取るために伸びたその尾は突如飛んでき刀に軌道をずらされ、ぬらりひょんの肝には届かず肩を貫く程度で終わった。




「ぐっ!!」

「チッ………とどめをさせると思うたか?」




ぬらりひょんは貫かれた肩に手をやり、痛みに顔を歪めた。




「おぬし…本当に…
よくもよくもやってくれたのぅ…!!」




恨み言のように言葉を並べる羽衣狐の声は朧たちにも聞こえていた。
しかし牛鬼と朧は正直それどころではない。

刀を投げたはいいが投げたのは実に不安定な屋根の上。
それを考えず思い切り振りかぶって刀をなけ飛ばしたものだから朧はバランスを崩し下に落ちかけたところを何とか牛鬼がその手を掴んだ。
間一髪である。




「しかし今の刀はなんじゃ?どこから飛んできたのかのぅ…」




ふと下へ視線を向けるも、朧が落ちかけていることで二人の姿が羽衣狐には見えず何も無かったかのように羽衣狐はぬらりひょんへ言葉を続けた。




「あ、危ないではないですか…!」

「す、すまぬ…焦っていたものだから…」




牛鬼も心臓が浮くような感覚をたった今体験したようなものだが、ふと先程の朧の投げた刀のことを思い出す。
持っていた時にはごくごく普通の刀だったはず
というのに朧が投げた時には何故か真っ黒な刀身となり、そして羽衣狐の尻尾を弾いていた。
ただの刀ならば本来羽衣狐の尻尾の方が強いため刀の方が弾かれていたはず。

しかし、その尾にも負けず弾いたあの刀。
恐らく刀は何の変哲もない刀だろう。
となれば、何かしたのはこの姫だということだ。




「………………」




治癒以外にこの姫には何か違う力も備わっているのか?
そんな疑問が浮かんだ。




「ま、またんか!!」




羽衣狐の焦った声に弾かれるようにして上を見あげれば、その瞬間、ぬらりひょんが羽衣狐を斬った。




「お…おの…れぇぇええ」




淀の方様より出てきたのは狐のような影。
あれが、羽衣狐の本体。
朧はただそれを呆然と見上げるしかない。




「おぬしら…ゆるさん
絶対にゆるさんぞ、呪ってやる!!呪ってやる!!
ぬらりひょん、わらわの悲願をつぶした罪…
必ずや償ってもらうからな」



腹の底からグツグツと湧き上がる恨みの念。
あまりの不気味さに朧は眉間に皺を寄せた。



「おぬしらの血筋を未来永劫呪うてやる。
何代にも渡ってな…
おぬしらの子は孫は!
この狐の呪いに縛られるであろう!!」




今度こそ本当の恨み言を言い残した羽衣狐はそのままどこかへ消えていった。




「これで…総大将が魑魅魍魎の主……」

「…………おめでとう、とでも言ってやろうか。牛鬼」

「…それは私にではなく総大将へ言って差し上げてくだされ」

「…………………………」



人間であるこちらからすれば、魑魅魍魎の主の代替わりなど喜んでいいものなのかいまいち分からないというのに。

それに無言でいると上ではいつか見た秀元とぬらりひょんがなにやら会話を交わしていて、その様子は初対面ではなさそうだ。
秀元が顔広いといえばいいのかぬらりひょんが顔が広いといえばいいのか。




「姫様、総大将の元へ行きましょう」

「牛鬼が抱きついてやれば良いのではないか?」

「だから私ではなく姫様がやるから総大将は喜ぶのでしょう」

「良き家臣に抱きつかれるというのは割と嬉しいことかもしれんぞ?」

「家臣ではなく下僕でございます」




………牛鬼は頭が固いな。




結局、牛鬼に言われるがままこの不安定極まりない屋根を登り、ぬらりひょんの元へと向かった。




「っ、妖!」

「「?」」




私の声にぬらりひょんのみならず秀元も振り返った。




「な…朧姫!?な、何故ここに!?」

「放っておけ!!」

「放っておけるか!!?」




なんとかてっぺんに着いた私はずかずかとぬらりひょんの方へと近寄る。
肝は守れたかもしれないが、貫かれた肩の傷は酷いものだ。
私の力を持っても当分は動かないかもしれない。

それを見て、思わず顔を歪めてしまうがそれがバレるのも嫌できっと今は微妙な顔をしていることだろう。




「っ、やかましい!
さっさと怪我を見せろ死に損ないが!!」

「相変わらず当たりが強いのう!?
ワシはあんたの為に傷だらけなっとるんじゃが!?」

「だから怪我を治してやると言ってるんだ死に損ない」

「その死に損ないってぇのやめんか!?」

「黙れクズ!」

「クズも死に損ないもどっこいどっこいじゃねぇか!」




ぬらりひょんの目の前まで来てその体へと手を伸ばす。
するといつものように淡い光が灯り体を包み込む。




「傷が消えた…ありがとのう、朧姫」




治ったといえど、肩の穴はまだ開いたまま。
他のところは治ったがやはりそこの怪我は大きすぎて一度では治らないようだ。



「っ」

「朧姫?」

「心配、したのだ」




彼のボロボロの着物をぎゅっと掴み、俯いてか細くそう言った朧にぬらりひょんは目を丸くした。
いや、秀元とそばの牛車に乗っている是光もだ。



「私などの為にこうも傷を負うとは……貴様はバカだ」

「………………」

「私など捨て珱たちだけ連れて帰ればよかったものを」




声が震えて、視界がぼやけて。
ああ、駄目だ。顔が挙げられそうにない。




こんなにも胸が苦しいなんて。
苦しくて苦しくて仕方がないのに、『私のため』と言われれば胸に灯る暖かな温もりは驚く程までに甘美なもの。
『恋』とはなんと、矛盾した感情なのか。




「ワシは言ったはずだぜ?あんたに心底惚れてんだ。
あんたをワシの女にせにゃならん。
イヤと言っても地の果てまで追いかけて頷かせてやる」

「ぬらちゃんそらあかん」

「うるせぇ黙ってろ」

「ぬらりひょん貴様
朧姫様にそんな邪な感情を抱いていたのか!?」

「黙れハゲ」

「ハゲではないわ!!」




そんな会話を聞きながら彼の着物から手を離し涙を拭い顔を上げるとすぐに穏やかな表情で自分を見つめるぬらりひょんが視界に入った。

それだけで幸せだと思えてしまうのだからもう逃げ道などありはしないのだ。




「男など皆クズだ」

「…………いや、確かにあんたの父親は並々ならぬクズだったとは思うが全員あれと一緒にされてものう………」




ワシは断じてあんなんとは違うぞ??とぬらりひょんは若干顔を引き攣らせている。



「地の果まで追いかけるほど私が欲しいのか…お前は」

「あぁ。こうやって命かけるほど」




迷いの無い言葉だった。
反射的に答えたようなこうな言葉。
それを聞いて、私は笑みを浮かべた。




「「「!!」」」

「どうやら、私は貴様に負けたようだ」



逢いに来ては、口説き、笑い、気にかけ、その目に私だけを映した。
知らず知らずのうちに、私はその瞳に自分がいることに、喜びを感じるようになっていた。



「貰うがいい。この身などお前にくれてやる」




美しいその姫の笑みは、どんなモノよりも美しかった。




「私が差し出せるものはこの身と、我が心のみだ。
それでも良いのならば、お前にくれてやる」

「…………朧姫ぇ〜〜〜〜〜〜!!!!」

「!?」




ぬらりひょんは、けが人であることも忘れて朧をぎゅうぎゅうときつく抱きしめる。
バランスの悪いこの場でそんなことをされては身動きが取れるわけがなく、朧は目を見開き驚くしかない。

それを見て、微笑みながらほなボクらもお暇しましょか。と牛車に乗り込んだ秀元は兄を奥へ押し込み、式神を操った。




「好きじゃ、あんたが大好きじゃ!!」

「馬鹿の一つ覚えのように言わんでもわかる!!」

「この世の何よりもあんたを愛しとる!!」

「わかったと何度言わせるつもりだ貴様!!」




朧の顔は真っ赤に染っていて、恥ずかしいからやめて欲しいということは一目瞭然だった。




「総大将、そろそろ下へ戻りましょう」

「あぁ!そうじゃな。どれ、戻るか」

「な、ちょ、私を抱き上げる理由はなんだ!!」

「あんたに少しでも触れていたい。それじゃダメかのう?」

「はっ…!?」

「クク、言葉一つ一つに反応して愛いのう」




総大将、と急かすような牛鬼の言葉に頷きぬらりひょんは屋根を強く蹴り登ってきたあの大穴に飛び込んだ。
















いて………

っ、ゲホッ、この死に損ないが…

じゃからそれはよしてくれ

総大将…姫様のこともっと考えて



(11/29)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -