人生もゲームもバグだらけ | ナノ


▽ 04


現在何故かおじいちゃん、お父さん、リクオ、そして私が集まってテレビを眺めるという状況になっていた。




「おねーちゃん、これなに!?」

「ピン子を目指したけどなりきれなかったババア」

「これは!?」

「パンダのコスプレした変態」

「へんたいってなにー?」

「危ない人のことだよー」




鯉伴とぬらりひょんは可愛い子供たちの会話に、とてつもなく微妙な顔をしていた。
リクオはテレビで流れるものの中に気になったものがあれば姉である銀華にあれは何、これは何、と元気に聞いているのだが如何せん銀華のやる気のなさ。そんでもって回答の酷さ。
本当に子供か??と思ってしまうほど普通の子供では到底出てこないだろう一癖も二癖もある回答をリクオへ返す。




「じゃあこれ!」




ビシッと指さしたのは何故か父、鯉伴。
なぜ俺を指さした息子よ。俺はお前らの父親以外のなにものでもねぇだろう?と鯉伴は相変わらず微妙な顔をし、ぬらりひょんは微妙な顔からちょっと楽しそう顔になった。




「無駄に色気をぶちまく歩く卑猥物体」

「ちょぉぉぉい!!!ちょいと待った!!!」

「ブハッ、フハハ!!
銀華言いよるのう!クククッ」

「??おねーちゃんそれどういうこと?」

「リクオ!理解しなくていいからな!!
銀華はんな言葉どこで覚えてくんだよ!?」

「国語辞典熟読するととっても勉強になるよ」

「小1で国語辞典なんか読破してんのかよ!!」




既に10回以上読んだよ、と言えば実は真面目なタイプかお前!!とツッ込まれる。
いや、全然真面目ではありません。
むしろ不真面目。

ただペラペラ話す自分のいいわけ確保として読破したっただけ。
なんなら広辞苑も読破してるぜ。
正確にはただ流し読みしてただけだが。




「じゃあこっち!」

「ゲッ、今度はワシかい」




今度のターゲットはおじいちゃんらしい。




「後頭部チョココロネおじいさん」

「ブフォッ」

「誰が後頭部チョココロネじゃ!鯉伴笑うな!」

「おじーちゃんのあたまにチョコつまってるの!?」

「詰まっとらんわ!!!」

「クク、ハハハッ!っ、はー、俺の時笑ったくせに笑うなたァ承服しかねるぜ」




くつくつと鯉伴はとても楽しそうに笑い。
ぬらりひょんは相変わらずとても微妙な顔をしていた。




「じゃああれ!」




次に指されたのは庭にいる黒田坊。
こっちには気づいていない。




「ムッツリスケベ田坊」

「「フハッ」」

「ムッツリスケベってなに?」

「オープンスケベじゃない人」

「へー!」



なんかめっちゃテキトーだけどいいよね。
てか、絶対黒田坊はムッツリスケベ。
これは最早確信。
だってあれはどう考えてもヅラと同じ匂いしかしない。
絶対人妻とか好きだよ。




「じゃあ、あお!」

「ゴリラの化身」

「ゆきおんな!」

「メンヘラ系ドジっ子」

「くびなし!」

「実は首の部分異空間に繋がってる説ある本家のボーリング玉」

「けじょーろー!」

「爆乳花魁でござんしょ」

「かっぱ!」

「いつかドライアイならぬドライディッシュになりそうな奴」




ぬらりひょんと鯉伴は死にそうだった。
なぜって?そりゃあ、笑いで。




「は、はぁっ、ちょ、ま、
おま、お前さんらストップ!止まれ!」

「なにー?お父さん!」

「しん、しんどいから
しんどいからもうやめてくれ……」

「い、いつぶりにこんなに笑ったかのう……」




リクオはえー?とただ首を傾げ、銀華は特に変わった様子なくテレビを眺めていた。




「はぁぁ……笑った」

「笑って疲れを感じるたァいつぶりじゃ……」

「昔っからだが…銀華は面白い。マジで」

「誰からの遺伝じゃ……」

「俺じゃねぇだろ。ってなると若菜か?
つっても若菜はあれは完全天然だろ。
銀華のこれは絶対天然じゃねぇよ」

「確かにのう」




残念ながらこれは遺伝なんかじゃなくて完全に前世の問題だ。
前世に一緒にいた人たちがちょっと頭イッちゃってるヤツら多かったもんで。
結果こうなっちゃっうよね。
不可抗力だと思うんだ。
あのメンバーと長いこと一緒にいて普通の人間に育てってのが無理難題だ。




「返しが絶妙に面白ぇんだよな。銀華って」

「ホントのう…なんちゅーか予想と逸脱した返答が返ってくるの」

「模範回答の斜め上を行くとかじゃなくて違うベクトルの返答返ってくる感じだな」




うんうん、とその親子は揃って頷いていた。




「そういや、銀華は昔からあれなに これなにって聞いてこねぇよな。興味無いのかい?周りのものに」

「……分からないものがあれば聞くけど……
でもわかるやつ聞いてもね?」

「意思疎通できるようになってから妖怪見てもこれがなんなのか、とか聞かねぇよなぁ」

「ごめんそれは多分興味ないからだ」

「なんだよ」



だって、妖怪はもはや私には天人にしか見えないんだよ。どう見ても。
地球で生まれてる天人だよこれは。
天人よりかは見た目怖い系のやつ多いけど。




「ねぇねぇ、おねーちゃん」

「ん?」

「おねーちゃんってさ、なんで髪の毛白いの?」



こっちで生を受けて初めてそのことについて触れられた気がする。




「なんでだと思う?」

「…わかんない」

「それは銀華さんには白が似合うからであーる」

「へぇ!じゃあぼくもちゃいろがにあうから?」

「そ、私は白がお似合いだから神様は白をくれたんだ」




本当、白という色から逃げられはしないというように。
逃げるつもりも隠れるつもりもないが、とことん白に縁というか腐れ縁的なものを感じてしまう。




「でもおねーちゃんしろにあう!」

「ありがと」

「でもそのかみってそとにでるとぎんいろにみえる!」

「……そう?」

「うん!」




白銀か。ま、私らしいといえばらしい。




「私もこの髪の毛の色は気に入っているよ」




自分が何者であるかをいつだって思い出させてくれる色だ。
みんなのことを忘れることなどないけど、この髪を見る度にふと思い出すのだ。
前世のことを。
己の業を、力を、生きた全てのことを。




「それにうちのみんなも好きって言ってくれるからね。これ」




だから好きだよ、とリクオに笑えばリクオもつられるようにニッコリと笑った。




「それに知ってる?
若白髪って金持ちになれるんだって。
生まれた時からこれな私はもう億万長者への道を駆け上がるしかない」

「おくま……え?」

「セレブへの道のことさ」

「いやいや、銀華そりゃだいぶ意味違くねーか?」

「生まれた時から白い場合はもうそりゃ若白髪の域を出とるじゃろ……」

「ハゲてるからってそんな事言うなよおじいちゃん!」

「やかましいわ!」




でもまぁ、おじいちゃん500歳近いらしいし別に驚きはしないけどね。




「お父さんチャンネル貸して。この前撮った録画見ちゃう」

「何見るんだい?」

「アニメ」

「なんの?」

「全身ゴム人間の少年が海賊王目指すお話」

「かいぞくおうってなにー!?」

「船に乗ってブイブイ言わせてる人達の王様」

「「多分そりゃ違ぇ」」




どうやら、ぬらりひょんの血筋にはツッコミ属性が多いらしい。
















おねーちゃんってものしりだね!

そうかなー。

じゃあさじゃあさ!
イタズラするときのコツとかってある!?

ありっっっったけの敬意と悪意を込めてその人が悲鳴をあげるような罠を仕掛ければほぼ成功するよ。

よくわかんないけどわかった!!

敬意と悪意ってほぼ真逆じゃね?

銀華のイタズラにゃあ引っかかりたくないのう、タチが悪そうじゃ。見るはいいが。



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