人間って「俺のこともっと信じてくれよ」とか言ってる奴に限って平気で浮気しちゃうよね。だってそう思わない?相手に信じてもらいたいならまずは自分が相手を信じなきゃ。信じるものも信じれないでしょ。第一、そういう言葉を言う時点で私のこと信用してないって証拠よね。

「またそんなことで別れたんだ?」

「私にとっては重要なことなんだけど」

パソコンをカチカチと鳴らす臨也に「最近彼氏とはどうなの?」なんて聞かれたから仕方なく話してあげたのに、当の本人はあまり興味がなさげだ。なら最初から聞かないでほしいんだけどなぁ。

「君って長続きしないよね」

「人聞きの悪いこと言わないでよ」

「なら一番長く続いたのは何日だっけ?」

「それは……」

覚えてない、とポツリ呟けば「無責任」と言われた。臨也には言われたくないよ。臨也以上に無責任な男がこの世にいるというのなら是非ともこの目で見てみたいものだ。そう考えながら睨みつけていたらよくわからないが興味が出てきたらしい臨也が私の隣に腰掛ける。近くで見る臨也の瞳はいつ見ても臨也の考えを読みとることができないなって思った。

「じゃあさ、もし俺が君のことを好きだと言ったら君は信じるのかい?」

お互いの息が唇へと簡単に触れてしまうくらいの距離で臨也は言葉を紡ぐ。

「それは信じる信じないって前に臨也が好きなのは人間という生き物で。だからその人間が大好きな臨也はどの人間にも同じだけの愛情を捧げているわけだ。私という個体にだけに捧げる愛情なんて臨也の中には存在しないんだよ」

臨也の瞳がほんの一瞬だけ揺れた、気がした。だけど次にまばたきをした時にはいつもの嫌みったらしい臨也の瞳に戻っていた。あー、残念。

「なかなか面白いことをいうよね、相変わらず君は」

「そう?ありがとう」

別に褒められたわけではないくらいわかってるけどとりあえず社交辞令的な感謝の言葉だけは返しておく。そのまま細長い人差し指と親指に顎を掴まれて唇と唇が触れ合う。こうして私に捧げられる愛情は臨也にとっては他の人間に捧げている愛情と変わらないんだ。みんな平等。それが臨也の愛情なんだ。



平等主義
企画『人間論』様に提出




「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -