小説 | ナノ


「ねえねえスコピー愛してるよ」
「私はお前がだいき……むぐっ」
「ああちょっと待ってよ、結論出すのは早いでしょ!!」
「早くない。私はもう結論が出てる」
「いやそういうツンデレはいいからさ…。あっそういえばさー」
「なんだ」
「『愛してる』と『大嫌い』って似てると思わない?」
「……医務室に連れて行く優しさなら持ち合わせている。連れて行ってやろう、言語障害は生きるうえでかなり深刻な部類にはいる」
「あああ違う違う違うって!!意味とかじゃなくて口の動きだよ!!口の動き!」
「口の動き?」
「そう、ほら『あいし』までと『だいき』までは母音が同じだから口の動き一緒でしょ?その続きの『て』と『ら』だって母音が『え』と『あ』大した差はない。口の動き的には決定的に違うのって最後の一文字の『る』と『い』だけなんだよねー」
「……まあ言われてみたらそうだな」
「だからさー」
「なんだ?」
「俺こうやって耳塞いでるから口の動きしか見ないから



あんたの本当の本当のほ、ん、と、う、の、気持ち教えてよ」


最初の口の動きは『あ』
次は『い』
次も『い』
次は正直『え』か『あ』わからない。

ねえ、最後は――?





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