小説 | ナノ
ヴー ヴー
スコルピオスはその携帯の無機質なバイヴ音で目が覚めた。鳴っている携帯を開くと時間は6:30。休日の人間が起きる時間としてはかなり早めだ。
特に彼は今日早くに出かける予定などなく目覚ましは設定していない。しかしまだ手の中の携帯はヴーヴーと唸っている。つまりそのバイヴ音はメールではなく着信によるものだった。
そしてスコルピオスは携帯の画面に表示された非常識な相手の名前を見ると、ただでさえ朝早いせいでただでさえ仏頂面なのに、それがさらにしかめられる。
だが、相手はあきらめる気がないらしく30秒くらい放置してもまだバイヴ音は鳴り続けていた。
このままじゃ拉致があかないのでスコルピオスはいまいましげに電話にでた。
「何の用d」
「あっスコピーおはよー!オレオレーあなたのオリオンくんだよん」
言い終わらないうちに話は始めたオリオンに眉間にさらに皺がよる。
「朝早く、今日はゆっくり眠る予定の私に、わ・ざ・わ・ざ起こして電話するなんて、何の用だ」
わざわざ前半部分を切って喋ったのはもちろん嫌味のためであろう。
まあそんなことに気づく男だったらまず6時半に人に電話はかけないのだが。
「あっあのねー今日オレ暇なのよ。それで皆のアイドルスコピー先生が誰かと遊ぶ予定をたてないうちに、オレが誘っちゃおうかなーとか思ってねーあっときめいた?」
「んな訳あるか。というかさっき言ったとおり私は今日はゆっくり眠る予定だから貴様とは出かけん。以上だ」
「えぇ!!折角の休日だよ?どっか行こうよ!!寝るなんて最低の休日の過ごし方だよ!?」
「貴様とどこかに出かける方が最低の休日だ」
そこですっかりオリオンが黙りこくったので、電話を切ってやろうとスコルピオスは電源に手をかけた。
すると電話の向こうからオリオンがぼそぼそと何か言い始めた。
「……ばないと……」
「何だ?」
「遊ばないと……スコピーの家押しかけて●●●が●●●●して●●●しちゃうんだからぁ!!!」
そのおおよそそのへんのボーイズラヴ漫画でも使わないようなハードコアなプレイの内容(しかも自分が受けらしい)に一瞬にしてスコルピオスの顔が青ざめた。
冗談のように聞こえなくもないがオリオンはやるときはやる、そういう男だとスコルピオスはよく知っていた。
「分かった!!……出かけてやるからその発言を撤回しろ!!」
「そうこなくっちゃあ!スコピー愛してるぅ!!じゃあ10時に駅前ね!」
そしてスコルピオスは準備をはじめ、待ち合わせの十分前には着いてるのであった。
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