小説 | ナノ
「――あっ」
首にはしった激痛に小さく喘ぐような声が出た。
眠っていた意識を起こし、目を細く開けると妹が自分の首に顔をうずめているのが見えた。
「何してるの……ソロル」
声に反応して妹は小さい頭をあげた。
「お兄様起きたの?」
「お前が僕の首を噛むからだろう。痛くて起きてしまったんだ。何してたんだい?」
「お兄様の味見をしてたのよ」
「味見?」
ソロルは愛しそうに僕の首についてる噛み跡をなでた。
「だってお兄様は死んでも私の中で一緒にいるんだから。まず美味しいか確かめて、美味しくなかったときにかけるスパイスを考えなきゃ」
「……で、結果はどうだったんだい?」
「お兄様は美味しいから何もいらないわ」
ソロルは嬉しそうに微笑んだ。
戻