小説 | ナノ


――アリスが迷い込んだ不思議の国は実在した。

しかし、アリスが目が覚めると同時に世界は崩壊しかけていた。アリスには自分でも気づかない力があったのだ。それは――『強く願ったことを実現させる力』
アリスに夢だと思われた異世界・不思議の国、その国はアリスに認識されなかった部分からどんどん消滅していった。
 数少ない残った国民は、消えていく故郷を見守るしかなかった。

 それから時は流れ、不思議の国はなんとか生活を立て直していた。その復興の先頭に立ったのはアリスに会った登場人物たち。その功績から貴族という地位についていた。以前とは体制も変わったが、そこは平和を取り戻したのだ。少しの歪はあるとしても。

 しかしそんな不思議の国に嫌なニュースが飛び込んできた。アリスと同じ力を持つ少女が別世界に生まれたというのである。
 また迷い込んだ少女に夢だと否定されれば自分たちの現実は簡単に壊れてしまう。国民たちはその不安に陥り、恐れおののいた。
 そして考え付いた――ならば先手をうちましょうと。
 アリスをわざわざ不思議の国に迎え、現実だとわからせることにしたのだ。
 どうやって?そう疑問をあげた国民に猫は答えた。

「愛する人を作らせればいいのさ、僕らの中から」
 
 アリスの魂を持つ少女と
 不思議の国の末裔たち
 これはそんな彼らの歪んだ愛の物語。


登場人物



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