四時間目、授業中の教室

今は国語。

教卓の前に立つ教師が黒板にカツカツと掻く音や教科書を読む声が子守唄に聞こえる授業だ。

回りを見れば船をこいでる奴もいるしもう完全に眠りに落ちているやつもいる。

俺は国語は得意教科なのでこの時間は比較的起きていて、(まぁどうしようもなく眠いときは寝てるけど)興味のある話は結構積極的に耳を傾けていたり。



―――二つ前の席


そこには誰も座っておらず、あの目立つ銀髪はない。

多分サボってるんだろう

仁王は国語は苦手教科らしい
だから出席していても寝てたりする

俺にとっては国語がどうして苦手になるのか不思議だけどあいつにとっては俺が数学が苦手なのが不思議らしい。

作者の思っていることを書け、だとか登場人物は何故こう行動したのか…だとか
決まってない個人の考えが反映される答えを考え出すことは楽しいのに

あー…でもあいつは変わってるし『個人の考えが反映』される域を越えた解答をしちゃうんだろうな

確かにこの前「他人の考えなんてそんな簡単にはわかるもんじゃなか」って言ってたし

……詐欺師が言うことなのか、って思ったけど

そんな深く考えずにテスト時は模範的感情を考えてやればいいのによ


ああでもそう考えると数学が得意なのはわかるかも

答えが決まってる
一つしかない

とか。
確かに余計な感情だとかそんなの考える必要ないし
機械的に解いていけば誰もが正解出来る教科

……仁王らしいっつったら仁王らしい。

ふっと小さく笑う

でも俺は途中式とか苦手何だよなぁ…



あー…なんか喉乾いてきた。
終わったら販売機でジュースでも買うか

やっぱイチゴミルク?
最近飲んでなかったし久しぶりに飲んでみようか

ああ、そういえばあいつ前イチゴミルク飲んでたな

甘いの苦手そうな見た目してるくせに…ってイチゴミルクを飲んでたのは変に記憶に残っている。

なんだかあのピンクのパッケージが可愛くて、でもそれをあの仁王が飲んでて……意外だったから今でもはっきり思い出せる

でもこの前お前甘いのいけるんだなって言ったらいや?って返したんだよアイツ

だから前イチゴミルク飲んでたじゃんって言ったら、あのイチゴミルクはなんかいけた。とかいいやがった

いけるいけないの以前に甘いもの無理だったらフツー買わないだろ

よくわかんねぇー
やっぱりあいつは変わってるわ





と、ふと気がつく

……俺、あいつを無意識に目で追ってるだけじゃなく


無意識にあいつのこと考えてる………!!?



(〜〜〜〜〜!!!)


なにやってんだよぃ自分!
すげぇ乙女じゃねぇか!!恥ずかしい…!!!


頭を抱えたくなってきた。

もう自分やだ…落ち着け







「ブンちゃん?」


「あ?」


自己暗示中、呼ばれて顔を上げる

そこにはデジャヴ…仁王の姿



「に、お……?!」


「寝ぼけてとったか?もうとっくに授業は終わっとうよ」


ばっと時計を見れば…授業終了時間の十分後

……マジかよ


「早速、購買いかん?」

「……おう」



鞄を持って廊下に出る。
買ったらこのまま屋上で食べる気なのだ。




(………ん?)





そこでまたふと気がつく




授業終了のチャイムに気づかなかった俺が


仁王の呼び掛けには一回で反応できたという事実。




……………………










「〜〜〜〜〜〜!!?」





俺の中で着実に大きくなっていくアイツと言う存在








むしゃくしゃに恥ずかしくなった俺は、アイツの背中に鞄を振りかぶった

















(いっ!?いきなり何するんじゃブン太!)
(八つ当たり、……いやお前が悪いから仕返し!)

(……何かしたかのぅ、俺)






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