どくん…どくん…どくん…どくん……






『あったあった!寄ってくれてありがとう!』

『じゃ、いこう!』






パタン……





…………………







バァン!!


勢いよく扉を開ける


「死ぬ!!」


色んな意味で!!


「大丈夫か丸井」

「大丈夫じゃねぇよ!!」


お前のせいで余計な!!






―――――――という感じである。






酸欠のせいだけじゃない赤くなった顔が熱い

ぜぇぜぇと力なく壁にもたれ掛かると仁王はけろりとした顔でロッカーの扉を閉めていた


「っはぁ……」


息をゆっくり吸い込み酸素を取り入れる

はぁ…生き返る……

なんて心の中で思っていると


「ブンちゃんさっきのいきなりどうしたん」


と仁王が聞いてきた

そういえば走っている間全く話してなかったからいきなり外に連れ出したみたいになってるんだな

説明をするべく俺はポケットから携帯を取り出した


「やっぱり仁王んとこには来てないのか」


まぁ仁王にこれが来てたらおかしいしな

カチカチと携帯を操作して一通のメール画面を表示し、それを仁王に向かって見せた

仁王が携帯を覗き込む


「幸村くんからの指令」


そこには『困っているあいつを助けよ』の文字



「…………」



あれ
なんか今、仁王の雰囲気変わった?


「仁王?」

「……そか」


スッと離れた仁王は心なしか不機嫌な顔をしていた気がした

でも次の瞬間にはいつも通りの表情をしていて……

気のせい?


(つーかよ……)


ロッカーで感じたあの鼓動の高まり

仁王の息

狭い中密着した体


(思い出しただけで死にそうだ…!)


おさまった顔の熱が再び出てきた
頬に手をあて、気休めで冷やす


「………はぁ」


今の自分は絶対に混乱状態に陥っている

少しでも冷静になりたくてぱたぱたと風を起こすように手を動かすけど、全く意味をなさなくて


(………どうしちゃったんだ…俺………)


未だにバクバクと動いている心臓に手を当てて、何とも言えない感情を宿して佇んだ

















(……もしもし)
(柳お疲れさま)
(……精市は学校にこれなくていいな)
(ふふ、そんなことないよ。それよりどうだった?)
(流石にその場には居合わせられなかったがデータ的に考えるなら指令を実行したのは98パーセントだ。それに…)
(それに?)
(ブン太と仁王の様子から、何か起こったことは確実だ)
(そ。柳の言うことなら信用出来るな。まぁ今日はお疲れだろうし、もう切るよ)
(ああ)
(ありがとう。また)
(また)


ピッ
















「もうそろそろ…最後か、な……」










110421




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