なんと早速次の指令が来た
内容はただ四文字




『共闘せよ』










翌日の学校
朝が弱い仁王を叩き起こしてなんとか部活に間に合うように家(?)を出る


「共闘しろって…ダブルスを組めってことか?」

「そういうことじゃなか?」


二人して校門を潜り部室へ向かう

まだたった半日だけど、接点が増えたおかげでまぁまぁ喋るくらいにはなってきた
幸村の思い通りになりつつあるのは仁王は不本意らしいが、喋ることが出来るというのは良いことだ
でもまだ半日なので……たまにある沈黙が痛いけど

普通に仲いい奴とでも沈黙ってあるのにな
ずっげー気まずいわ


「おはよーございま…っす!?」


後ろから元気そうな…一部間抜けな声が聞こえてくる


「丸井先輩と仁王先輩が一緒に登校とか……マジ明日槍が降る!」


………そこまで周りから見ると俺たちは気まずそうだったのか

いや確かに今まで会話するのしても間に一人や二人いたけどさ

二人っきり…か、
そういえばテニスの作戦の話し合いくらいしかしたことねーかも

赤也が来たことによりちょっとホッしながら三人で部室へ着くと中には俺たちと幸村君以外のレギュラーメンバーが既に揃っていた


「……赤也がこんなに早く来るとは、明日から氷河期突入か?」

「酷いッスよ柳先輩!」


そう言って赤也が柳の方へ歩いていく


「ってお前人のこと槍が降るとかいいやがってお前こそ珍しいこと起こしてんじゃねぇか!」


あの遅刻魔の赤也が。

赤也も朝が弱いらしくよく遅刻ギリギリか遅刻で朝練にくるのだ
朝が弱いって言っても赤也は眠くて起きれないらしく仁王とは違う
仁王は今日の様子をみると低血圧で起きれないっぽい

赤也の頭を乱暴に撫でてから自分のロッカーの前へ移動する


「あ」


声の主は仁王
着替えようとしてネクタイがないことに気づいたらしい

まぁいつもと環境が違うしこういうこともあるだろう
しゃーねーな、と鞄の中を探る


「仁王忘れてたぞ」


実はそれに自分は気づいていたりした
いつ気づくのかと思って黙っていたんだけどやっと気づいたようだ

仁王にネクタイを差し出すとありがとと返ってくる


「どーいたしまして」


と着替えを再開しようと自分のロッカーに向き直る途中、ふと複数の視線と目があった

な、なんだよぃ…!?


「ま、丸井君、仁王君…貴方達もしかして」

「お前のお母さんから泊まりとは聞いてたけど…アッチ系だったのか…すまん気づかんかった」

「………」


柳生、ジャッカル、真田がかなり動揺している

………………意味わかんねぇんけど

しかし次の赤也の一言で全てが分かった


「一夜ともに過ごしちゃった感じ……?」


……………。


「アホかお前ら!つか柳なに笑ってんだよ!」


勘違いしてる奴らに盛大な突っ込みを返す

幸村によると監視は柳と言っていたところから事情は知っているだろう
つーか住まい借りてるし


さっさと着替えを終わらせ勘違いしている奴ら(一部悪ノリ)を黙らす

仁王は仁王でめんどくさいらしく部室のソファに座ってボーッとしていた




「ところでブン太、仁王。指令は届いたのか」


コートへと向かっている時に柳が俺たちに話し掛けた


「来たぜ」

「共闘せよ。か……ダブルスなんて俺たち出来るんかのう」

「俺もそれ思う」


はっきり言ってダブルスパートナーとしては相性は悪いと思う


「…………練習しなければ…いい結果が残せる確率はかなりないな」


柳のお言葉もあります


「でも実行しねーと幸村君怒るしなぁ」

「……精市を怒らせるのは止めた方がいい。言わなくても解っているだろうがな」

「「そりゃあもう」」


先日の幸村の笑顔を思い出しぶるりと身体が震える
…病院で死ぬかと思いましたから


「ま、やってみるしかないじゃろ……」

















「…………先輩達、ほんっっっと相性悪いッスね」

「っせぇ」


やっぱり駄目でした

体力を使いコートへと座り込む

まだ朝練の時点でだが二人のダブルス相性は最悪と言えるぐらいボロボロだった
柳の言う通り、練習すればどうにかなるだろう。
が、いつこの指令を終えれるかわからない
期限は特に決まっていないだろうけど、あんまり幸村を待たせるといいことはないだろう


「はー…どうすっかな…」


効率よくやれる方法はないだろうか……

考えを巡らしているとシューズが擦れる音が鳴る


「別にダブルスじゃなくてもいいんじゃないか?」


振り向くとそこには柳がいて
なんかいい方法がないかを聞こうと思っていたのだが、予想外の言葉に言葉を飲み込んだ


「どういうこと」


するとやっぱり気づいてなかったか、とふっと笑われた


「精市は共闘しろと言ったんだ。それはあくまでも共闘でありダブルスと限定されていない」


あー…
共闘=ダブルスってのが頭に入ってたからそれ以外考えられなかった……

んー……でもなぁ
共闘って他に何があるんだ?
体育?いやでもあいつと体育の選択違うし…

喧嘩?
んなことしたら暴力沙汰になって大会に出れなくなるだろ……


悩んでいるとふと柳が思い出したように言った


「今日は弁当か?」

「いや、購買。朝時間とられて作れなかった」


そうか、と呟く彼


「大変だろうが頑張れよ」

「?……おう?」



そう言い残し柳は真田の方へ行き、直ぐに部活終了の招集がかかった


………何が大変なんだ?

………ああ、指令のことか









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