気のせいだと思いたい

思いたいんだけど…突きつけられる事実


今だって


「まる、」


俺を見るなりふいっと逸らされた目

そして廊下の角を曲がり姿を消す彼


行き着く結論は――


「……避けられとる」


なんのこっちゃ分からん

自分には避けられるようなコトをした覚えがない

いや、悪戯ぐらいはしたがそれは随分前のことでありこんな避けられようなことをしたわけじゃない。
それにその時はいつもの冗談のように笑って丸くおさまったし

だからそれが原因ではないと思う

じゃあなんだ

それが思い当たらないから困っているのだ

頭をぽりぽりと掻く

本人に直接聞こうにもああいう風に上手く逃げられ近づけないし、体育の授業中を狙って話しかけてきたときも合同体育のためいた柳生をまさかの盾にして逃げられてしまった
しかもその後柳生がいないときを狙ったらまさかまさかの真田を盾に

流石の真田も驚きの表情を浮かべながらも授業をちゃんと受けろと注意される始末


………何故そんなに逃げるのか


俺は丸井が好きだ

好意…恋愛感情的な意味で、を持ってる相手にそんなことをされたら傷つくに決まっている

それだけでなくよくもまぁこうも一人の人物を巧みにかわせるなぁと感心してもいるが


…………そう思っていたのは最初だけで


流石に意味も分からず避けられる事に苛立ちを覚え始めた


部活で顔を合わせるものの会話はなし

あいつは他の部活メンバーと喋って笑っている


(ほんま何なんじゃ…!)


俺はお前のせいでいらいらして笑っていられないというのに!


「本当にそれだけか?」

「参謀……」


いつ背後に立ったのか
後ろにいた柳が意味ありげに呟いた

その前にコイツ読心術でも心得ているのか……?

と思ったが聞くと答えが怖かったのでやめておく

結局その苛々を引き摺って部活は終わってしまい…

皆が部室へ引き返すなか、他の奴にも聞こえるよう名前を呼んで丸井を引き留めた
丸井だけに聞こえるように呼んだら絶対に無視するから

丸井は誰かも一緒に引き留めようとしたが赤也に先帰ってますねと言われそれに失敗

誰もいなくなったコートで俺は距離を詰める


どうして気まずそうな顔をするのか


目を合わせないようにうつむいている顔を掴んだ


「!」


顔を無理矢理上げさせれば見開く瞳

やっと合った目を見つめた



「おまんなんか嫌いじゃ」


「え」


傷ついたように揺れる瞳が俺を見つめ返す

だけどそれを見ぬフリをして言葉を紡いだ



「俺がこんな惚れとるのに、俺を見ないおまんなんか嫌いじゃ」



丸井の顔を固定したまま唇を落とす

重なる唇



驚きの見張るあいつの目


そこに俺が映ったのが見えて




そのことに満足し、苛々も吹き飛んだ俺はコートの出口へと向かった


呆然とする丸井を放ってそのまま部室へと戻る


これで少しでも意識してくれたらいいのだが……








「……お前さんが悪いんじゃからな?」










暫くすると俺の名を呼ぶ声が部室のそばまで聞こえてきた











110416
避けられるのが解決されたのかは別




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