気に食わない
苛立ちを覚える


何に?

即答しよう、丸井に。



空は快晴
ついでにあいつの笑顔も晴れ渡っている

なのに俺の心は大荒れだ

テニスは精神状態が大切なスポーツなのに


(どうしてくれるんじゃ)


視線の先は三人の塊

丸井と切原とジャッカルだ

丸井と切原がジャッカルに悪戯を仕掛け、それが成功して喜んでいる

顔を見合わせ笑顔を浮かべる二人と呆れながらも叱るジャッカル

ああ、イライラする
アイツの笑顔に


ベンチからじっと見ていると横に立っていた柳生にあちらを睨んでどうかしましたか?と含み笑いをされた

わかっとるくせに嫌味な奴じゃ











部活終了後の部室


「ブン太」


幸村が丸井を呼んだ


「何?幸村君」


着替え終わった丸井が風船を膨らましながら振り返る


「これあげるよ」


差し出したのは白いケーキの箱
見た目から中を予想し丸井の目が輝く


「マジ!?」

「うん。さっきもらったんだけど二つ入ってたからね。」


ブン太、ケーキ好きだろ?と幸村が微笑むと、丸井はぶんぶんと尻尾を振る犬の如く駆け寄り箱を受け取った
そして幸村が箱を開けてケーキを差し出すとそれにパクリと食いついた


「美味い!幸村君大好きだぜ!!」


大好物のケーキを食べて浮かべた幸せそうなその笑顔

プラス台詞に少し前から沸々としていた苛立ちが完全に沸き上がる

しかし俺は詐欺師
それを顔の出さずに、周りが和やかになっている雰囲気に溶け込んだ


だがふと目が合った幸村

何か嫌な気がするなとは思ったが案の定鼻で笑われた


…………この部活には気に食わんやつ多いのう


きっとあの幸村だ
俺の心情を分かって…いや、俺にこうなるようにわざとしたのだろう
なんて質の悪いやつだ

事実奴の唇が『悔しい?』と動くのをみた

隣にいた柳もそれを見ていたらしく俺を向いて苦笑をしていたので間違いない



「じゃあの」



ずっとこの中にいるのもいやだったのでさっさと部室から出る


ドアを開けた時に掛けられた挨拶の中に丸井の明るい声が含まれていた

俺は敢えて振り返らずにそのまま外へ出た







「嫌いじゃ」





他の奴に向けるなら、


その幸せそうな顔も






















(…なんか仁王先輩怒ってました?)
(マジで?お前なんかしたんじゃねーの)
(俺何もしてないッスよ!)
(寧ろそういう丸井君が原因だったりするんじゃないですか)
((え…))
(その確率が100パーセントだな)
(えぇ!!?)


110414




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -