キーンコーンカーンコーン


(始まりおった)


授業開始のチャイム
自分は当たり前のようにそれを屋上で聞いていた

日差しが空間を暖め、程よく柔らかい風が涼ませる
絶好のサボり日和の四時間目

確か今日のこの時間の授業は…国語、だったはず

きっとクラスの窓際の席の者たちは授業を子守唄に昼寝でもしているだろう

俺は国語はあまり好きじゃない
というか苦手?
音楽よりはマシだけど苦手。成績は悪くはないのがまだ救いだ

想像力だ感性だと言うくせに思ったように書くと結局は突拍子過ぎると不正解にされる

考えを同調させろというのか?
そんなつまらないことはしたくない
寧ろ人の考えなんて簡単に分かられてはたまらない

簡単に分からないからこそ、自分のような者が活かされるのだから

それに人の感情に正解なんてあるのか
教育上の作られた正解があったとしても俺にはその枠が狭すぎる

その枠を越えた答えを出すものを変だ、異端だというなら元から答えが一つのもんを用意しろといいたい

まぁ全く同調もなしに皆好き勝手されるとそれはそれでめんどくさいが
自分がそうだから同族嫌悪になるのか?これは。

しかしそういう考えのお陰か数学は得意だ

丸井は数学が苦手らしくよくテスト前に教えてやることが多い

途中式が苦手のようで、それを解説している間彼を独占出来るのだからなかなか特をしている

しかも悩んでる顔とか部活とは違う、わかったときの嬉しそうな顔とか部活メンバーには見れない顔が見れるのだ

好きな奴の自分だけが知ってる顔

…優越感。

最高の気分だ


「……ぁ〜」


欠伸を噛み締める

そう言えばこの前丸井に突然甘いのいけるんだなって聞かれた

別に食べれないことはないがすぐに胸焼けするし、それが嫌いであまり食べない

だからいや?って返すとは?と言いたげな顔でこの前イチゴミルク飲んでみたじゃん、と。

そういえばそうだった

その時は適当にあのイチゴミルクはいけた。と返すとお前変わってるなって返されて


……お前さんがあまりにも美味しく飲んでたから飲んでみた


と本当の事は言わなかった

最終的に半分くらい残して捨ててしまった訳だが…

あのイチゴミルクは甘すぎた
既に二つの嘘を重ねている自分に我ながら詐欺師の名は伊達じゃない

……一体誰がこんなぴったりな二つ名をつけたのだろうか

落下防止のフェンスに近寄り、テニスコートを見下ろす

端に移動したことにより風に乗ってグランドで騒いでいる生徒達の声が聞こえてきて、授業中だということを改めて確認させられた


カシャン……


そこから背を向けフェンスに持たれる

見渡す屋上
目につく場所…

それは前に彼が寝ていたあの壁際

浮かぶ可愛らしい寝顔


「よく襲わんかったもんじゃ…」


手をだしてない訳ではないが

あの時とおなじ場所に座れば、…なるほど、これは眠い

この時期のこの場所は下手したら保健室よりいい昼寝場所じゃないか


二回目の欠伸


……自分もおとなしく寝ようとしよう











(結局はお互いに似たようなことを考えているのです)























「ん、」


チャイムの音で目を覚ます
暫くぼーっとしてから携帯を取り出せば授業終了後の2、3分後

昇降口が騒がしい
そうか、グランドの授業は終わっていて生徒が教室に帰り出しているんだ

ハッとして立ち上がる

もう昼休みに突入しているんだ

同じクラスになってから丸井とは昼食を一緒にとっている。
遅くなると文句を言われるのは分かっていたので少し急ぎめに屋上を出た


「………」


が、移動教室の帰りなんだろう
目の前の廊下の真田の姿があった
しかも真田がいるということは同じクラスの柳生もいることで

こんなところで見つかれば授業をサボっていましたと言っているもので

真田には説教、柳生に小言を言われるには決まっている

見つからないようにするには遠回りしてクラスに戻るしかない

………あれ、

これは遅れて文句を言われるか、バレて説教と小言を言われるかのどっちかしかないのか

……………。

頭をポリポリと掻く

確実に嫌なのは後者

ブンちゃん、すまん

そう心で謝って遠回りルートを選んだ
しかし意外にも丸井は教室の自分の席に座っていて

時計を見れば昼休みを10分経過

……珍しい

しかも近寄っても頭を抱えているみたいでこちらに気づかない
…寝てるのか?


「ブンちゃん?」

「に、お……?」


起きていたみたいですぐに返事は返ってきたもののさっきまで寝ていたのかちょっと寝惚けたような言い方だ

……大人しく遠回りルートを選んで正解だったよう


「寝ぼけとったか?もうとっくに授業は終わっとうよ」


そう言えばバッと時計を確認する丸井

授業おわっとったのにも気づいてなかったんか

あの丸井がそんなこともあるんだと密かに思ってしまった

購買にいくと言うと丸井もそれに付き合い、一緒に廊下へ出ると……


バコッ


「いっ!?」


背中に衝撃
振り替えると顔を赤くした丸井が鞄を振りかぶった後のような格好をしていた


「いきなり何するんじゃブン太!」

「八つ当たり、……いやお前が悪いから仕返し!」

「……何かしたかのぅ、俺」


思い当たる事がなくて記憶を探る
が、一つ思いあたり瞬間緊張の糸がピンと張った

いやいやでもバレてたら絶対にあの時すぐ殴られてると思うし……!!






(キスしたのがバレた?!)
















(俺はこんなにこいつが好きなのかよ…!!)
(いやでもそうだとしたらこれだけじゃ済まないじゃろうし…)


((何で!!!?))






110417






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