※大学生くらい









(今更、なんだって言うんだよ)


貴方といなかった間色んなことが変わりました


髪の毛はもう赤くないし


ガムだってあの時の物を愛用してないし


甘いものも今ではあまり食べなくなった



何より、貴方なしでも生きていけるようになった



ならされた



ブランクを二年も開けやがって


内の一年は俺のせいかもしれないけど


前のままではいられない


時間は静止という言葉を知らない


変わろうとすれば変わるのが難しく感じるけど


この二年間でなにより


変わることより変わらないでいようとすることが難しいことが分かった


俺もお前も望まなくても、変わってしまったものはあるだろ


姿も

好みも

……お前への、想いも



「好き?」


じゃない


「嫌い?」


……少し



苦笑するその顔も最後見たときよりも大人びていて

黒くなった髪も

また伸びた背も

少し低くなった声も


時間を、感じさせる



だけど



「少し大人になったのぅ」



あまり好きじゃなかったミント味の、甘すぎない、でも一度食べたときに好きと言った今愛用しているガムを差し出してきたり



「お土産」



昔も今もずっと大好きなままのガトーショコラとチーズケーキの入った箱を渡したり



「愛しとうよ」



二年間、募りに募って大きくなった想いを、お前は以前とは違った言葉にして俺に向けた



「ん、やっぱりブン太の髪は撫で心地がよかね。」



髪だって今は地毛で、色は違うし、前より傷んでもない


でもお前は、染めても変わらなかったふわっとしたこの髪質を落ち着くと頭を撫でるんだ



「何で、今更…」



忘れられると思ったのに


お前なしでも生きていけたはずなのに



「ごめん…泣かんで、ブンちゃん」



触れられると、あの時に戻ったみたいにもう離れたくないんだ



「やっぱり俺にはブン太が必要やけん、」



バカ



「やり直したくて、来た」



離れてったのは、お前なのに



必要ないって言われたみたいでとても悲しかった



「ごめん。迷惑なんはわかっちょる、じゃが俺も余裕ないんよ」



俺だってお前がいきなり現れたことに切羽詰まってるよ



「愛しとう。だから、もう一度―――」



言葉が紡がれ、返事の代わりというようにその身体に抱き付く



「仁王のバカ…死んじゃえ」



そうやって簡単に俺の心を拐っていく



涙を見られなくてコイツの胸元に顔を埋めて悪態を吐くと背中に腕が回る



「好き、愛しとうよ」



「俺、も……」






時が流れ、俺達は確実に変わった



けど



変わらないものもありました



それは想いの根源



やっぱり彼を好きじゃなくなることは出来なかった










(嫌いだよ)
(でも好きじゃないってのは嘘)
(俺は少し、嘘つきになったのかもしれない)




111010
ほろ苦さが欲しかった
シリーズとは違う大学生パロ




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