キシキシと小さな悲鳴を上げるベッド


月夜のせいか部屋はほんのり薄暗く、目が慣れれば目の前の人物を認めることが出来る


ぼんやりと照らされた輪郭や、赤い髪、ぎゅっと目を瞑る表情も。


肌を打つ音と軋む音に合わせて愛らしい唇から零れる喘ぎはどこか渇いていて


漏らすまいと閉じた口が、彼の意地とプライドがはっきりと主張されていた




「声、出さんの」




微笑を浮かべて尋ねれば、ゆっくりと濡れた瞳が開かれこちらを見る




「…出さねぇよ。バーカ」




野郎が喘いでどうする


そう同時に戒めを解いた唇が動く




ブン太は声を出すことを極端に嫌がる


やはりそこにはプライドとか意地とか、そんなものが邪魔しているのと、元からの男らしい性格故に喘ぐということを拒むのだ



だけど




「んっ…!…っ、」



時折洩れる不本意な甘い声に、どれだけ自分が喜んでいるのかなんて彼は知りもしない


そして身体を重ねる度に快楽を植え付けられ少しずつ侵食されていることも、そのお陰で甘い声を洩らす回数も増えていることも


きっと知ってても、認めたくなくて知らないフリをするんだろう


彼はそんな子だから



最奥に突き入れたまま、彼の首筋に顔を埋める


擦り寄るように肌と触れれば、その横で擽ったい快感に白い喉を反らせていた


唇で強く吸い、赤い印を付ければゆらゆらと律動を再開する



まだ、大丈夫


多分彼はそう安心してるに違いない


揺さぶる身体は熱を宿してはいるけど、まだまだ余裕なのがわかる



緩く自分を束縛する背中に回された腕は上体を起こせばするりと呆気なくほどけた


動きを止めてさっきより距離を開けて彼の瞳をじっと見下ろせば、それに気づき見つめ返してくる



いつも声を我慢している君


唇を固く結んで、声を上げないようにして、でもすぐに油断すれば本当は今すぐにでも声を上げてしまいそうになっている


快楽に耐える表情も煽るけど


それが快感で溶けて、崩れていくのはいつなんだろうね


時々蕩けていく表情を覗かせる君が、素直に可愛い声をあげるのはいつ?






本当は知っている





もうその時まで残り少ないことも、



一瞬で恍惚とさせる、君の弱いトコロがどこにあるかも





もう限界


ゆっくりとゆっくりと快感を刻みこんで…


準備が整うまで俺も耐えたと思わん?





ニヤリと彼の目を見ながら笑むと彼は目を見開いて


今更気づいた?


俺が何かを企んでいたこと



でももう手遅れ



逃げられないように腰を掴んでギリギリまで引き抜いた自身を彼の中に突き入れる



途端にビクリと跳ねる身体に衝動が沸き上がる


逃げようとする腰を押さえつけて容赦なく突き上げれば甘い甘い嬌声



ずっとこうしたかったんよ?



ブン太は俺がブン太の弱いトコロを見つけてないと思っていたかもしれないけど、そこを何度も何度も突き上げて君が乱れる様見たかった





でも、もういいじゃろ





「ブン太っ…」



「あッ、ぁんっ…い、やぁ…!!」






全身で俺を感じて、

高く甘い声で啼いて、

涙を流すほどに快感に酔しれて、








「もう逃がさんよ」










そして俺に堕ちてって



















110918
声を出したくないブン太と出させた仁王




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