「あー……あったかい」



空は雲の欠片がなく、視界いっぱいに青が広がる快晴


気温は次の季節に向けて冷え込み始め、薄着のまま好んで外に出たがるものも少なくなってきて



肌寒くなった冬が近い秋のある日の屋上



俺は秋晴れた空を頭上に仁王に後ろから抱きすくめられていた



「ブンちゃんあったかいのう……」



幸せそうに足の間に俺を入れぎゅっと抱き締め肩に顔を埋める仁王は、昼休み終了のチャイムなんて耳に入っていないらしくさっきからずっと俺を腕の中に閉じ込めていた


多分今はもう授業が始まっている頃だろう


こうも堂々とサボるこいつもこいつだがそれを容認している自分も大概だと思う


つーか俺は別に授業サボるつもりはなかったんだけど


まぁ別に居心地が悪い訳じゃないし寧ろ心地よかったりするわけで



「人をカイロがわりにすんな」



だけど素直に言わない


言ったら言ったで調子乗るし


相手がどう出るか伺っていると



「ブンちゃんは湯たんぽじゃー」

「そこ細かく突っ込まなくてもいいんだよ。つかそんなのどっちでもいいし」

「俺もどっちでもよか」



コイツ……。


お前から言ったくせにと小さく呟く


そしたら子供体温最高じゃーと更に抱きついてきたのでこの寒がりの脇腹を肘で突いた


わざと俺が反応する言葉をいっているのはわかっていたので結構強めに


一瞬怯んだ仁王


そんなことは気にせず俺は言葉を紡いだ



「つかお前は温かいかもしれねーけど俺は寒いの。」



仁王はブレザーを着ていて、俺はまだカーディガンだけの姿


外に長居するつもりはなかったのでブレザーはまだ着てきていなかったのだ


抱きすくめられてこちらも暖かくはないということはないが、こうも屋外に長くいると流石にそろそろ肌寒くなってきて


授業は今更どうでもよかったので気にしてはいないが、寒さには勝てず中に入りたい気持ちが沸いてくる


それを示唆する台詞だったんだけど…



「ブンちゃん我が儘じゃのう……」



はぁ、とため息を吐かれた



「なぐんぞてめぇ」



人をサボりに巻き込んでまで自分の暖をとるお前には言われたくないっつーの!


すると何を思ったのか奴は俺のカーディガンのボタンを外していくと、次はシャツのボタンにまで手を伸ばしぷちぷちと外し始めた



「………お前なにやってんの」


「寒いって言ってたじゃろ?人肌同士合わせたら暖かくなるかなと」


「中に入ればんなことしなくても済むんだよ!」



にこりと笑う仁王に呆れたように返す


ほんとコイツって奴は……


きっと仁王のことだからこれもわざとなんだろうけどさ


こんな寒い中肌を合わせて変な気を起こされると困るので、その前に行動を起こした



「つかこうすればいい話だろぃ?」



そう言って仁王の腕をほどく

その時拗ねたような顔をしていたけど俺はくるりと体の方向を変え向き合うようにし、そして彼に抱き着いた



「やっぱりこっちのほうがあったけぇ……」



気がする

ぎゅーっと抱き締めて彼の胸に顔を埋め頬擦りをすると、腕が背中に伸びてきて


顔を上げると仁王は優しい笑みを浮かべていた


先程より近くにある彼の顔


俺の大好きな、他には見せない微笑みに不覚にもどきりとした



「仁王」



でも嬉しくなって背を伸ばし、ちゅっと彼の唇に口付ける


するとちょっと驚いたような顔


小さく笑うと今度は向こうから近づいてきて


再び重なる唇


俺はそれに彼の首に腕を回して、目を閉じた











(もっと手っ取り早く温かくなる方法あったなり)
(………何)
(夜の営み)
(…だから中に入れば済むってことを何語で言えばお前に伝わるのかな)




110524

だからナカに…とか言い出すと下ネタが止まらないので止めときます(これは酷い)
ほのぼーのな感じを目指しました
祝2001hit!かな様に捧げます!




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