―――ペラッと紙を捲る音

その音を立てているのは腕の中のブン太で、彼は恋人をそっちのけで読書に夢中になっている

国語の時間で先生がなんとなく面白いと紹介した本を何となく読む気になり何となく図書室を探してみたらあったから借りてみたらしい

ブン太が読書と意外かもしれないがこんな些細なきっかけでもあれば本に手を出し、しばらく読書に没頭しいつの間にかやめていたりする
得意教科が国語なだけあって、本を読むのは好きらしい

まぁ気分屋なので気分で読んだり読まなかったりもあるのだが

図書室で探している際に柳生と会ったらしく、面白いとお墨付きをもらった本だと言っていた
流石柳生が誉めるだけあり、ブン太は面白いと言ってさっきからページを進める指が止まらない

ついでに目線も本に落としていてこちらを見なかった


「ブーンちゃん」


自分の腕の中にいるというのに…全くの無反応

いや一応はんー?とか返事はするんだけど……

構ってほしくて目の前のうなじに口づけ強く吸う


「ん、」


赤い鬱血が出来、ぴくりと体が震えた


「何ー?」


なのにまだ本から視線を外さなくて

構ってほしいのに空回わり

ぎゅっと抱き締める


「シたい」


諦めず耳元で囁く


「んー、うん…」


返事は拒否ではなくて

……ちゃんと聞いてないのはわかってたけど、言ったブン太が悪いと服に手を忍び込ませた


「んっ……ん!?いやだめだめ!」


軽く指が腹に触れ、自分の言ったことに気づき慌てて訂正するブン太

そして俺の手をつかみ侵入を拒む


「ブンちゃんあかんって言わんかったじゃろ」

「でもだめ!今したら一週間禁止だからな」


強引に進めようとしたがその言葉に手を止める


「………」


なんだか悲しいような…寂しいような……

そんな気持ちになりながらもスッと服の中から手を引き抜く

それを確認したブン太はまた本へと目線を落としてしまい

彼の邪魔をしないように腰を抱きしめる腕にぎゅっと力を込める


………俺を見て、ブン太
















仁王の腕の中で図書室で借りた本を読む

彼の腕の中は温かくて落ち着くし、本も興味深いものばかりで目が離せない

すごく居心地がよくて

でもぎゅっと力が入る腕が少し苦しくなってきて彼が不機嫌になってきているのがわかった

……そろそろ構ってやらないと可哀想か

何か言ってても適当に返しちゃってたし…

そう思い、きりのいいところで栞を挟み本を閉じる

パタンと小さな音に腕がぴくりと僅かに反応したのがわかった

床に本を置き、少しだけ体を捻る


「におー」


腕を回して彼の頭を撫でる
だけどまだ不機嫌モードで肩に顔を埋めたまま返事をしない


「仁王、」


……無視

思っている以上に彼は機嫌が悪いようだ

内心ため息をつくが恋人の家にいるのに本を読んでいた自分が悪い

多分俺がされたら怒る

だけど彼はそれを我慢していて。



でも俺は知っていた

彼の機嫌がよくなるコトを



「雅治」



名前呼び

今まで無視を決め込んでいた彼が少し反応する



「雅治、ちゅーして」



おねだり

甘えるように彼を見上げて、口づけを待つ

すると間をあけてちゅっと触れる唇

名残惜しく離れる温もりが少し切ない

同じこと思ったのかそれとも足りないのか

仁王が目を見て言ってきた



「もっとしたい」



三つ目、お願いを聞く



「いいよ……もっとして」



再び唇が重なる

ちゅっ、ちゅっとリップ音を立て啄むキス

薄く唇を開けばぬるりと侵入してくる舌に舌を絡み取られくちゅくちゅと音を立てた



「ふっ…ん……ふぁっ」



気持ちよくて夢中になってこちらも舌を絡める

淫らな水音が、熱い吐息が、動く舌が、そして彼が……全てが愛しい

首に腕を回して縋りつくが、そろそろ息が苦しくなってきて体を引こうとした



「んっ……!!?」



けれど後頭部に伸びた仁王の手がそれを許さず更に深く口づけられる



「んーーーーっ!!」



息が限界になり、どんどんと彼の胸を叩いた



「っは…!」



くちゅりと音をならして離れる唇
ぷつりと切れた二人を繋ぐ銀の糸

肩を揺らして息を吸い込めば、だらりと彼の腕に体を任せる

するとぎゅーっと抱き寄せられた

暫くして、自分の息も整ってきて。

自分もぎゅっと腕に力を込めた






そして最後






「まさはる、大好き」






素直に愛を囁くこと










さっきの不機嫌が嘘のようにすっかり彼はご機嫌



「好き、愛してる」

「俺も愛とうよ、ブン太」










大好きな貴方の、大好きなこと















110429

ベタボレ…?
デレデレ…!?
こんな感じで大丈夫でしょうか!

キスはジャスティス!




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