「ブンちゃん保健室いこ」










「なんで」

「ベッドあるじゃろ?」

「…いや意味わかんねぇし。俺授業とか出来るだけサボらない主義だから。つか盛る気か」

「きゃー、ベッドだけでそこまで想像しちゃうなんてブンちゃんやらしー!」

「いやもうお前帰れ」

「ブンちゃんとなら帰るー」

「帰ったら帰ったでおんなじ結果になりそうでいやなんだけど。つーことで断固拒否」

「じゃあ無理矢理連れていくまでじゃ」

「っておい!!」



ぎゅっと握られた手は俺より少しだけ冷たくて

それがちょっと心地よかったり

だから言葉の割には抵抗せず俺はあいつに手を引かれそれについていった











ガラリ


「ごめんね、今から………あら、仁王くんと丸井くんじゃない」


背を向けたまま鞄を探っていた保健医がこちらをみて少しだけ見開いた

結構仁王はここに通っているらしく覚えられているらしい
俺も何故か覚えられてるけど……まぁこんな特徴ある色の髪してたら当たり前か

ちょっと困ったような表情をしていた先生は仁王の姿をみたなりパッと顔を綻ばせた

んー…なんか気にいられてんな


「先生これから留守にするんだけど本当は駄目なんだけど…仁王君なら大丈夫よね。保健室の留守を任せていい?」

「はい」


ちょ、先生
こいつに保健室任せるとか過ちだぞ!

学校崩壊する!

と仁王を見ると、彼は先生に見えない角度で好都合とばかりにニヤリと笑った

うわー
俺本当にここで食われるんじゃないか?

俺の心境を知ってか知らずか先生はじゃあねと無情にも優しそうな微笑を浮かべて鞄を肩に掛け出ていった


「…………」


すると仁王はズボンのポケットに片手を突っ込みながら扉の方へ歩みより



ガチャッ









食 わ れ る !!










「いやいやいやなんで鍵閉めるんだよ」

「やって閉めんと人入ってくるじゃろ?……先生おらんのに」

「おいあからさまに取って付けたように言うな!」

「まぁ取りあえずブンちゃん」


仁王が俺に近づいてくる
それに俺は一歩後退

するとすぐに後ろにあったベッドの柵に当たった


(しまったああぁぁぁ!)


そう思った時にはもう遅く次の瞬間とんっと押され背中が布団に着地する
仁王が顔を近づけてき、きゅっと目を閉じた







――コツン









「ぇ」

「ちょい熱いのう」



触れたのは額と額

目をぱちりと開くと間近にあった仁王の顔が離れていく


「なん?期待した?」


にやにや笑いながら俺の靴を脱がし、ベッドからはみ出していた足を布団の上に置く

慌ててバーカと言った頃には掛け布団を掛けていて

仁王は一旦ベッドから離れどこかに行くとすぐに体温計を手に持って現れた

俺のネクタイを緩め第三者ボタンくらいまであけてから、スッと俺の首筋に人差し指で触れる


「?」

「キスマーク」

「わっ…!」

「今更じゃろ。はい、体温計」


はだけた襟元を掴むと、苦笑が降ってくる

彼を軽く睨みながら体温計を受け取り熱を測る

確かに朝からだるくて頭が少しくらりとしたけど熱まではないと思うんだけど……

っていうか仁王にばれてたのか、しんどかったの

すると電子音がなり脇から体温計を取り出した
表示されている数字は……


「37度4分……」

「微熱じゃな。子供体温ゆーてもしんどいじゃろ?」

「お前一言多い」


多少いらっとしながら体温計を渡す

寝ときんしゃいと頭を撫でられ掛け布団を肩まで掛けられた
まだ冷たい布団の表面が心地よい

仁王が体温計を手にベッドサイドから離れようとする


「………ブンちゃん。」

「にやにやすんな」


離れようとするその手を掴む
彼の手は普段から少し冷たいけど、自分のものが高いせいかいつもより冷たく感じた

でも安心する手のひら

その温もりを離すのは惜しいと思った


「大丈夫、離れんよ」


シャーッとカーテンを引き、置いてあった椅子を引っ張りベッドの横へ座る

握り直された手

そしてちゅっと額にキス


「おやすみ」

「ん」


風邪の時は精神的に弱るって言うけど、やっぱりそうだと思う

だって手を握られるだけでこんなに安心するんだから

自然と間蓋が閉じていき、いつの間にか俺は眠っていた











「ん……」


ゆっくりと目を開く

体のだるさはさっきより断然軽くなっていて、まだ火照ってはいるが問題なかった

だけど違う大問題が目の前にある


「お前……何乗ってんだよ」


俺に馬乗りになる仁王をじと目で睨み上げた


「やってブンちゃん寝顔可愛いし頬っぺた赤いし、はだけてるところからキスマーク見えちょるし……誘ってるようにしか見えん」



なんて真顔で言いやがる



「おま、……俺の体調気づかってここに来たんじゃねぇのかよ」

「やけ、誰も手ぇ出さんとはいっちょらん」



そう言ってボタンを外していく奴に焦りを覚える


「おいどけよ!先生帰ってくるだろぃ!!?」

「あれ、ブンちゃん知らんの











先生出張で帰ってこんぜよ」











…………。








「知るかーー!!!!」












(お前サイテーだよ病人襲って楽しいか)
(やけ、ブンちゃん気持ち良さそうによがって――)
(お前本当サイテー!!)
(でもブンちゃん)
(………んだよ)
(そんな俺が好きなんじゃろ?)
(…………バーカ)




110428

なんだこれ




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