「はっ……あっ…」


熱い吐息

いつものように仁王に誘われ俺は抱かれていて。

俺たちは一応付き合ってはいるが、実際は身体だけの関係…所謂セフレ


『付き合ってくれん?』


言いだしたのは仁王だった

女遊びの激しいやつだったからどうせ性欲処理が目的なんだろうってコトは分かってた

男を抱くなんて変わってるな…いやもしかして、とかちょっと期待したけどそうじゃないと言い聞かせたのは記憶に新しい


『別にいいぜ?』


いつか惨めになる…それは予想していたけどさ

それでも俺はそれに頷いた

俺はずっと仁王が好きだったから

なんで思っちゃうのかな
一時的にも繋ぎ止められたら…とか

でも実際は予想と違い、惨めだなんて思わなかった

ただただ、悲しかった
心が痛かった

とても深く鋭く突き刺さる、愛の囁き


「好きじゃ」


どうせ他の女にもおんなじようなこと囁いてんだろ?

知ってるよ
だってお前の事ずっと見てきたから

この嘘ツキ

……わかっているのに

やっぱり俺は仁王が好きで

その嘘に一瞬心が高揚させられる


「俺、も…す……き」


痛い痛い痛い
その嘘がとても悲しくて痛い

自分が一番望む言葉を、何の感情もなく囁かれて。



ポタッ



(……?)



何かが滴る
汗がさっきから落ちていたのは知ってるけど、何か違和感があった

顔を上げる


「に、お………」


気のせいかと思い手を伸ばし触れる

でも指先は濡れていたのは本当で


「におう、」


泣いてるの……?



「あっ…ひあ…やっ…まっ…て…!!」



ぐちゅりと卑猥な音を立てて弱いところを突かれ、最後まで言えなかった


「好き……好きじゃ………」


揺さぶられまともな言葉が口に出来ない


「愛しとう……」


早まる動きに思考が白くなる

でもあれは確かに涙だった

涙を流しながら愛を、一番欲しい言葉を囁かれて。



(期待、させんなよ…!!)



泣くぐらいだから本気だったりして…なんて、
期待なんてしないほうがいい

痛みが、より増すから…

だから俺は仁王の言葉を信じない



「あっ…やっ…も、…イく…!」



際奥を突かれ、果てる

中に感じる熱



頬を伝う涙は快楽から来るものか、悲しみから来るものか



よくわからないまま、意識が遠のいた











110413
詐欺師への罰のブンちゃん視点
続編作ってハピエンにしたかったのですが無理っぽい…




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