▼ 09

強く熱い衝撃が下半身に広がってセバスチャンは背中をのけぞらせた。ボコっと腹が変形して呼吸が詰まる。口が自由に使えないから余計に苦しい。目を思い切り見開いて涙が溢れた。
痛い痛い痛い痛い。
「坊ちゃんを大人に出来る魔法があるのですから、折角ですし・・・もっともっと大きく長く変身させてみました。・・・どうです?経験した事のない衝撃でしょう」
「・・・・!!」
今まで気がつかなかったが、浴室に流れるシャワーはいつの間にか停まっていた。月夜もそのまま照らされているが、時間が止まったかのように自分達以外何も音が聞こえない。
「嗚呼、そうでした」
そう言うとネクタイを解き、ゼエゼエと荒い息を吐くセバスチャンの髪を強く掴み上げて自分側に引き寄せ耳元で呟いた。
「ここは、あなたがいた世界ではないんです」
「あぁうっ・・・な・・・にを?」
「あなたを私の世界に」
な、に?

刹那の衝撃。青天の霹靂?何を言っているのか分からなかった。

「ここは私の世界。鏡の中・・・ほら見て。文字が逆になっているでしょう」

目の前に出されたタオルを見せられた。そこに刻まれているタオルの文字が、鏡文字になっている。
「どうし・・・うあぁ!止めて!!」
「どうして?鏡の中に来たのだから、全てが鏡文字になっているのは当然の事でしょう。ほら、ほら!もっと気持ちよくさせてあげる・・・ここを抉って、突き上げて、何度もイカせてあがる・・・」
懇願しても容赦してくれない。
ペニスがまた大きさを変えた。ぐぐぐっと奥へ、奥へと突き上げられる中で脈打つ血管が更に肉壁にこすり付けられた。ボコッと壁を強くこすり上げ、圧迫されてかはっとまた呼吸を止められる。
苦しい、苦しい、苦しい。激しい超人的なピストンで呼吸のタイミングがない。嗚呼苦しい、嗚呼苦しい。意識が飛びかける。激しい突きに深くに達する。ピュルピュルと精液が、自分の意思とは裏腹に飛び出て行く。痛みと呼吸困難が意識混濁を促進させた。
「ぁがっ・・・痛い・・・痛ぃい!止め、壊れ・・・!!」
「可愛い、もっと壊して、ずっと閉じ込めて、一緒にいてあげる・・・」
「がはっ・・・あぐっ、ぐぅっっ」
喉の奥から細くヒュッヒュッと短く荒い呼吸が繰り返される中、セバスチャンは察した。
ボコボコっと、身体の中に入る彼のペニスは限界が来ている。
「駄っ・・・駄目・・・悪魔の精液は・・・!!」
「強い媚薬効果を促・・・・す、うっ」
激しい脈と共に、生暖かいものが腸内に流れ込んだ。ヌルリ、ねっとりとした熱いもの。ハーー、ハーー、と全力疾走でもしてきた人のように長く荒い呼吸をしながら、ガクッと膝から落ちて床に倒れこむ。床に落ちる前に、後ろから抱えられ根元まで更に挿入を受け、入り口から精液が逆流するのを許さなかった。
「駄目駄目ダメだめ・・・はぁぁ・・・ああああ・・・・」
「ほぅら、気持ちよくなってきた?」
「ぅうっ」
ブルルっと身震いをして、じわじわとこみ上げて来た。顎が震えて視界がぼやけてくる。

長い時間を生きる悪魔にとって、暇というのは絶望だ。
時には悪魔同士暇つぶしに交わる。その折、口からであれ別の場所からであれ、体内に流し込まれた精液は媚薬効果となり更なる交尾の時間を楽しむ。定向進化というのは動物も人間も繰り返して来たが、悪魔の定向進化もある。その末が、精液の媚薬効果なのだ。
「・・・まだ欲しい?」
「欲しくなぃ・・・」
「でもここはまだヒクついて、こんなに欲しがってる」
「ひっ!」
「何?今の可愛い声。誘ってるの?」
「ひが・・・違いま・・・やぁ!!ダメ、あぁぁあ・・・・」
「時間はたっぷりとあるのだから」

真っ暗な闇。果てしない闇。月の光はこの世界には届かず伸ばしても届かない。
これは、セバスチャンが最も嫌いな色。切望の色だ。


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