七夕願うは君のクセ
「なぁ、窪田…俺、お前に言わあかんことあんねん」
「?…なん、ですか?」
「あんな、俺…」
どうにかこうにか長い梅雨を乗りきって、晴れた天の川に勝ち星をあげた帰り道。珍しく窪田と二人で肩を並べていた。
「お前のこと…苦手なんや」
「…」
真っ直ぐな道の途中で、きょとんとした顔がこっちを向いとるのがわかる。
でもその顔は見れなくて、目線は彼方先のジョギングしてるおっさんから離れへん。
「…なんやちょろちょろしとるし、何考えとるんかシムさん並みにわからへんし、変な笑い方しとるし…」
特徴的な窪田のクセなんて、思い浮かべるとキリがない。
もとからよく動く口は止まることなんて忘れて言葉を吐き出していく。
「すみ、ません」
平坦と言われる声が少し落ち込んだように聞こえた。
気がしただけかもしれへんけど、そうじゃないと確信が芽生えるくらいには、窪田と一緒に過ごしたと思っとる。
『そりゃ、まぁ…そうやな』
突然チームメイトから苦手言われたら、考えるんがゆっくりな窪田かて流石に思うものがあるやろ。
多分、今俺は窪田を傷付けた。でも…
「でもな…」
一呼吸分の空気を吸い込んで、身体中の空気を吐き出した。
「お前笑っとんの見ると俺も笑いたくなんねん」
俺はなかなかに強がりやから。
こんな形でしか伝えられへんけど、どうしても今伝えなきゃと思うんや。
「だからな」
「…はい」
「あのな」
「はい…」
「たぶんなんやけど」
「…はい」
自分でもまだ未分類の気持ちを分けるんなら…
「やっぱりお前苦手やねん」
「…」
一瞬流れた何とも言えん空気を、窪田も感じてんのやろうかと盗み見たら、傷付いたように寄せられた眉が見えた。
すまん、わるい、許してくれ…自分の中にある数少ない謝罪の言葉を振り絞る。
『あかん、そんなに思い浮かばへんかった…』
色々な後悔が入り交じるなか、窪田の表情にどこか喜んどる自分がいて正直困った。
『あかんあかん』
あかんねん。本当。
「俺な」
俺がな。
あかんねん。
何がって…
「お前見とるとどきどきしてきて俺困んねん」
何時も通りに出来なくなるから。
ちょっとでも笑って欲しくなるから。
「だから苦手やねん」
心臓が耳まであがって全身がどくどく言っとる。
窪田に伝わる声まで脈打ってるんやないかとアホみたいやけど本気で思う。
「だから、お、お前が嫌やなかったらやけど…どきどきしなくなるまでその…」
俺はなかなか…お前にはビビりやから。
こんな形でしか聞かれへんけど、どうしても今聞きたいねん。
「俺の側に居てくれへんか?」
目線は未だに遥か彼方。 君の方なんて見ることはできんけど、君が楽しいときのクセは知っとるから。
どうかどうか
わはっと笑ってください
「あの」
「な、なんや」
「どきどきって、何時、終わっちゃうん、ですか?」
「…俺が死ぬまで」
「…………………わはっ」
-あとがき!!------ クボタン受けの企画『わはっと笑って』に参加させて頂きました!
だらだらと長く書いたうえに内容が「ははっ、ヤマダくそだなっ!」って感じですみません。持田様並の眼力で蔑んでください(^q^)
とりあえず内容としてはカタ→(←)クボって感じです。窪田はずっと一緒に居られるってことに喜んでいて、好きとかまだ気づいてないみたいな感じですかね?← 片山?彼ならエセ関西人に成り下がりましたよ…(´ー`)
では、作品含め長々と失礼いたしました!
楽しんで頂けたら、これ幸いっ!!
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