だって貴方が好きだから
「だからいってるじゃない」 「だからいってるじゃん」
外の気温に比例して暑くなってきた小さな部屋で大人が二人。
日曜の昼下がりだって言うのに漂う雰囲気はよろしくはなかった。
「はぁ?何時もへらへらして、何考えてるかわかんないようなお前に言われたくない」
言い争いの口火を切ったのは部屋の主である達海だった。
「へぇ?僕が何時へらへらへらへらしたっていうのさ」
どこか嫌味のこもったこの声に、"返事をしたのがETUの司令塔だ"と気付くのは、ETUの選手でも少ないはずだ。
「何時もだろ!」
「じゃあ言わせてもらうけど、タッツミーは何時も何時もボーッと見てるだけじゃないか。」
「それはお前がいけないんだろ」
「その言葉、リボン付けて贈ってあげようか?」
まるでじりじりという音が聞こえるような空気が部屋に流れる。
傍目から見たらきっと不穏な空気が漂っているように見えるだろう。
『あぁあ、眉寄せちゃってよぉ。ムカッとすんなぁ』
いや、確かに本人達にしてみれば重要なことではあるだろうけれど。
『はぁ、全く子供みたいに頬膨らませちゃって』
きっと傍目から見たらどうでもいいような内容でしかないはずだ。きっと。
へらへらしてるのは君が居るだけで幸せにしてくれるから。
『もう折れちゃいなよ…まぁ、そんな君も好きだけど』
ぼーっとしてるのは君があまりにきらきらしてるから。
『いい加減認めちゃえよ。意外に頑固だな…嫌いじゃないけどさ』
だから誰が何と言おうと。 もちろん、その相手が目の前に居る人物であろうと、この気持ちを譲る気なんてない。
『『だって自分の方が絶対好きだし…』』
外の気温に比例して暑くなってきた小さな部屋で、ふいっとそっぽを向いた恋人達が二人。
犬も食わない痴話喧嘩…というには何とも馬鹿馬鹿しくて、何とも可愛らしい言い争い。
どちらの方が相手を好きかなんて、大人で子供で自由気ままな自分達にはお似合いのコミュニケーションだ。
そっぽを向いたままなんて詰まらないから、ちょっとだけ相手を見たら目が合った。
「…吉田。ちゅーしたい」
「"ジーノ"ね。…でも奇遇だね、ちょうど僕もそう思ってたんだ」
喧嘩した後は仲直り。 嫌いになんてなるわけがないじゃないか。
『『だってこんなににも貴方が好きなんだから。』』
「ねぇ、何で痴話喧嘩は犬も食わないか知ってるかい?」
「幸せ過ぎて犬もお腹一杯になっちゃうからじゃない?」
「ふふ、きっとそうだね」
-あとがき-------
はい、ジノタツです。 13000hit記念にリクエストを頂いたので書かせて頂きました。
甘いの目指そうと思って迷走しました…ふふふ。すみません(≡U≡)
あれです、二人はなんやかんやあって「どっちがより相手を好きか」ってので「自分だね」って言い争いを始めたんじゃないですかね。 本気で言ってるっていうより、じゃれあいみたいな感じで言ってるんだと思います。んで、後半はもう意地で言ってるとかね、かわいいんじゃないかな。うん。負けず嫌いみたいなね!!
と、いうことで。 楽しんで頂けたらこれ幸いです。
ではでは、ヤマダでした〜
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