はなまるのひ





朝早く、台所が五月蝿くて目が覚めた。


『んだよ、まだ6時前じゃねぇか…』


今日は仕事も何もないからと、昨日遅くまで飲みに…いや、接待に行っていた俺としては休みの日ぐらいゆっくりしてたいわけで。

つまり…


「あ、神楽ちゃん早いよ!もっと焼かないと!!」と言ってはがしゃんがしゃん。


「腹に入れば同じネ。細かいことをチマチマと…だからお前は何時までたってもメガネなんだヨ」と言っては水をばしゃばしゃ。


「いや、メガネ関係ねぇだろ!!」と言って一々突っ込む。


この騒音はアルコールが抜けきっていないこの頭にとって由々しき事態なわけだ。

だから、ここはびしっと叱らねばならない。


『何故って銀さん大人だからね?心は常に少年だけど、子供と同じじゃないから。もう2■歳の大人だからね?決して安眠の為にとかじゃないから』


…何てもちろん建前なわけで。


「だああああああ!!うっせーなぁ!!何朝っぱらからやってんだよ!!御近所迷惑でしょうが!!」


「てめぇが一番うるせえヨ」


でしょうね神楽さん、銀さん今頭きーんってなってんもん。


「あ、銀さんおはようございます」


俺はまだおはようございますしたくなかったよ…と思いながらも「おう」とだけ返した。


「で?何やってるわけ…朝飯にはまだ早くねぇか?」

何時もはもうちょい遅いだろと付け加えると、ちょっと困ったように新八が眉を下げた。


「いや、朝ごはんじゃないんですよ」

「は?じゃぁなに作ってんだ」

「ケーキ!!」

「は?ケーキ?朝から?何でまた…」


朝早く起きすぎちゃって眠れないご老人でもないんだから、子供はもうちょい寝てなさいよ。


「朝からとか糖尿のヤツに指摘されたくないアル」

「糖尿じゃねぇよ!予備軍ってだけだ馬鹿野郎!」

「どっちでもいいよ!」


新八が何時ものようにツッコミを入れると、後ろの方でちんっとオーブンのタイマーが鳴った。


「あ、焼けたアル」


嬉しそうにオーブンを開けに行く神楽を見ていると、新八が本当は…と口を開いた。


「本当は全部作ってから見せたかったんですけど…クリームが難しくて。だからいっそのこと銀さんに教えてもらいながら作ろうって2人で話したんですよ」


ね!とでも言うように、ケーキを抱えた新八と神楽と見合わせる。


「そしたら、来年は私と新八でケーキ作れるネ」

「だから今年は一緒に作りましょうよ、ケーキ」

「そんなの今日じゃなくてもいいじゃ…」


そう言いかけると、神楽が「まったくこれだからマダオは…」とでも言うようにわざとらしく溜め息を吐いた。

「今日じゃないと意味ないアル!」

神楽が指した指に促され、久しぶりに見たカレンダーには、ご丁寧にもでっかい花丸が一つ。


『…あぁ、なるほど』


わかると何とも痒いというか恥ずかしいというか…
一つ言えるのはキレイさっぱり目が冴えちまったことだ。

空気がひんやりし始めた秋の頃。


「銀ちゃん」


窓から入り込む金木犀の薫りとケーキの甘い匂い。


「銀さん」


こんな日は確かに…


「HappyBirthday!」


はなまるのひ











-あとがき-------
ぎりぎりアウトだけど銀さんおめでとう!!

今回は万事屋で一緒にケーキ作りでした。
万事屋の親子がもう可愛くて可愛くてヤマダ震える…

今回は万事屋ですが、最初は坂銀で書こうかと思ってたんです。
でも時間と体力と文章力がね…皆無。ということで万事屋でした。

いや、万事屋が書きたいなって思ったのが一番なんですよ。うん。本当だよ。


本編でも坂本出るみたいだし、坂銀増えないかな…ということで新op・edの坂本と銀さんにときめいて息が出来ないヤマダでした!!


では、楽しんで頂けたらこれ幸い。