「私ね、今日ロクサスの本体に会いに行ったの。」

忘れられた世界にある城の一角にある部屋に住むノーバディの少女は俺達]V機関に囚われている。思いのままにハートレス達を生み出す事の出来る彼女には広くて殺風景であり、黒い部屋が与えられていた。軟禁状態にあるもののノーバディを従えていれば外出も可能だと聞いた。そんな彼女には友人が二人しか居ない。俺ことアクセルと、俺の親友だったロクサスだ。
ロクサスは本体の元に還ったからもう此処には居ないが。
そんなロクサスの本体に、彼女は今日会いに行ったらしい。確か本体の名前は……

「ソラ…アクセルはソラに会ったこと、ある?」
「いいや、もうすぐ会う予定であるけどな。」
「そうなんだ。あのね、ソラって…凄くあたたかくて、眩しい人だったよ。」

ロクサスが優しかったのも当然だよね、と彼女は笑った。悲しげに眉を垂らして笑った。
心がないノーバディなのに悲しそうに、だなんて馬鹿馬鹿しいよな。

「私にもし心があったら、きっとソラの事を好きになってた。」

思うだけで心はないからなんの根拠も無いんだけどね。
そう言ってまた笑った彼女を見遣る。

そうだ、俺達ノーバディには心はないんだ


心は無いはずなのに、何故こんなに苦しいんだろうか。
心がないのなら、俺が彼女に抱いてるこの感覚はなんなのだろう


それをきっと世間では


恋、と呼ぶのだ


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