※柳そんなに出てこない



桜みたいだと、思った

ふわふわしてほわほわして、凄く可愛らしいピンク色の髪の少年は皆から愛されていた。
まるで、桜みたいに。
それを友達の桜に話したら「柳くんは私よりよっぽど桜っぽいよね」と笑っていた。

私はそんな桜みたいな男の子、柳くんが好きだ
でも柳くんは由紀が好きだし、誰にも言っていない。私の心の奥深くに蓋をして鎮めて鍵をかけたこと。

そうして私は今日も皆と一緒に、柳くんと一緒に過ごすんだ。


昼休み、皆が出て行った生徒会室の中で幼馴染みの伊澄と私だけが残った。私は他愛もない世間話でもして皆が戻るまでの時間を潰そうと思っていたけれど、伊澄の一言でその考えは消されてしまう。

「綺月ってさ」
「ん?」
「柳くんのこと好きでしょ」

なんのこと、そんなことないよ。そんな否定の言葉を言おうとしても身体が言うことを聞かない。目の前にいる幼馴染みに冷や汗が垂れる。やっと声が出たと思えば掠れて震えた声で「え……?」と。ただそれだけだった。
なんでわかったの、なんで。そんな言葉が頭の中でぐるぐるしていると伊澄は優しく微笑んで机越しに私の手を握ったのだった。

「だっていつも一緒だったから。俺にはわかるよ。」
「……い、ずみ…」
「伝える前から諦めちゃだめだよ、言ってみないとどうなるかわからないでしょ?…綺月なら大丈夫。ずっと一緒だった俺が言うんだもん、間違いないよ。」

その言葉に涙が溢れた。優しい、伊澄は優しい。
そんな優しい伊澄が私は大好きで、目頭が熱くなるのがわかった。視界が霞む。さっきとは違った意味で震えた声で伊澄にありがとうと言えば、どういたしましてと笑われた。


「ちょっとー、何綺月のこと泣かしてんのよ宮村ぁ!」

それから暫く、涙を流す私のことを伊澄がずっと撫でていてくれていると皆が帰ってきた。最初に声をあげたのは堀さんでそのまま荷物を机に置いて後ろから抱きしめられる。堀さん、違うのって言おうとすれば隣の席に柳くんが座って、柳くんの匂いがするハンカチで涙を拭ってくれた。





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