彼に惹かれたのはいつの事だっただろうか。
元々バスケが大好きで物心つく前からバスケットボールと触れ合っていた私は小学生の頃からミニバスケットボールのクラブに入り流れるように中学でもバスケを始めた。
私はキャプテンでありながら司令塔でもあるPGを担っていて、だからこそ彼が目に付いたのかもしれない。
同じ学校の男バスの試合を応援に来たときに、まるで上からコートを見渡しているかのような的確な指示を出すPGの彼に。他校の選手に。
名前も学年も知らない彼にいつしか私は夢中になっていて、それ以来参加校に彼の学校の名前を見つけると極力見学しに行っていたがやっぱり彼のプレイの秘密はよくわからなかった。

やがて私たちの学年は卒部し、バスケから高校受験へと一生懸命になるべきものがシフトされる時期が来て。私はバスケ部を卒部した後も男バスの応援に足を運んだがコートに立つ彼の姿はなかった。きっと彼は私と同じ学年だったのだろう。

そんなこんなで冬が来て。私はバスケを続けるのを辞めることを決意した。
それよりもバスケの強豪校に行って選手たちをサポートしたいと考えるようになったのだ。
そんなこんなでなんとかギリギリで受験を突破した私は王者とも呼ばれる歴史ある強豪校、秀徳高校に入学した。





「真太郎、私のクラス見える?」
「ああ、俺と同じクラスなのだよ。」

独特の口調で話す幼少期からの数少ない男友達である緑間 真太郎はスポーツ特待でこの学校に入学したらしい。幼稚園から小学校までは腐れ縁と呼べるほどいつも一緒だったのに中学が離れてしまったから余所余所しくなるかと思いきや案外普通に話せたので助かった。少し離れた場所の学校だったために友達が出来ずに一人ぼっちの高校生活を送る事も危惧していたがそれはまず回避できたようだ。

今日から一年間の学校生活を送るクラス割りが張り出されている掲示板には人がごった返していて残念ながら平均的な女子の身長である私には掲示板の文字どころか掲示板すら見えないので高身長の真太郎に見てもらっていたのだが、そうかまた私たちは同じクラスになったのか。



あの後、真太郎の斜め前の席になった私は隣の席に座った彼を見て硬直したのをよく覚えている。どうやら名前は高尾和成というらしくバスケが好きであり『キセキの世代』の緑間の友人であり、そして彼の類稀なるコミュニケーション能力によって私たちはすぐに友達になったのだ。

でもいつからか、ただの友達ではいたくないと願うようになってしまったのは私の方。
貴方の大切に、唯一無二になりたいと願うようになってしまった
貴方の相棒として唯一無二の存在でいる真太郎に酷く嫉妬もしてしまったのだ


そんな彼に恋焦がれて玉砕覚悟で告白したのは記憶に新しく、その時に彼に言われた「中学の時に客席でよく見るようになってからずっと気になってた」って言葉に泣いてしまったのもよく覚えている。




なんて過去の事を思い出してみても私がいつから彼に惹かれていたのかはよくわからない、気がついたらまるで当然のように惹かれていたってことなのかな。
よくわからないけれど、これだけはよくわかるんだ




使

私は、あなたが大好きです。




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