女皇后



あの後、日常を取り戻した白龍と俺はまた前のような関係に戻っていつも通り仲良くしている…いや、させてもらっている。
朝は部屋まで起こしに行ってあいつきっての要望で共に朝食を摂って……とにかくいつも一緒な生活を送っていたのだが、朝食から戻る途中で突然他の使用人に呼ばれてとある部屋に出向く。白龍は今から鍛錬だろうから俺は居なくても大丈夫な筈だしとくに気にも留めずに部屋に足を踏み入れた。

そこに居たのは……


「玉艶様…。」

紛れもなく……白龍の実母である練 玉艶だった。彼女は煌びやかな椅子に座り、こちらを見てにやりと笑った。

「よく来たわね、可愛い可愛い綺月…。」
「……お久しぶりです。」

いつもの体勢をとって玉艶様に仕えると玉艶様は椅子から立ち上がると俺の目の前で目線を合わせてくる。この人には注意しろって口酸っぱく白龍に言われているので若干警戒してみれば、玉艶様は口を開いた。

「貴方、随分前からシンドリア王国に滞在してみたいと言っていたらしいわね?」
「……烏滸がましい事は承知しておりますが…。その通りで御座います」
「今夜煌からシンドリア行きの船が出ます。丁度一人分の空きがあるそうですから行ってみてはどうですか?」

その言葉に目を輝かせる。「良いのですか?」と問えば玉艶様はにっこりと笑った。

「構いませんよ。貴方には表向きは煌帝国からの遣いの者として行って頂きますが向こうでシンドバッド王に皇帝陛下からのこのお手紙を渡して頂ければ後は好きなだけシンドリアで自由にして頂いて構いませんよ。どうします?」
「よ、喜んで行かせて頂きます…!」

玉艶様は思っていたより良い方なのかもしれない。








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