従者と皇女


「うふふ、見ちゃったわよぉ?」

可愛らしい声に力なく振り向けば、そこには練 紅玉様…つまり姫君が佇んでいて俺はすぐさま体制を直して跪く

「お見苦しい所をお見せしてしまって申し訳御座いません、姫!」
「あらぁ?いいのよぉ、全然気にしないで。それよりも…白龍ちゃんの幼馴染みさんって、貴方で間違いないかしら?」

姫の問に「大変僭越ながら、皇子とは幼少期から親しくさせて頂いております」と肯定を示せばやっぱり、と笑顔を咲かせる姫に首を捻る。
でもまさか、幼馴染みじゃなくて恋人になってただなんて驚いたわぁ。という姫の言葉に今度は全力で首を振って否定した。

「こ…恋人など…!!第一に私と皇子は同性ですし!」
「あら、この時代もうそんなに同性愛というのは奇怪な物じゃないのよぉ?」
「そ……そう…ですが………。」

でも、それでも俺たちはそんな関係ではないと姫に言い聞かせるも、姫は全く聞いちゃくれなかった。

「ねえ、貴方。どうしても私に違うと信じて欲しいのぉ?」
「……はい、可能ならば…。」

すると、姫は自身のお召し物の袖で口元を隠し、もじもじと頬を赤らめて言いにくそうに声を発する。

「じゃ、じゃあ……私のお友達になりなさい…!」

その言葉に目を見開いて固まる。いやはや、本当に練家の皆さんの行動は読めない。唖然とする俺を見た姫は、やっぱりダメよね。と肩を落とすから慌てて弁解をする。

「わ、私などで良ければ宜しくお願い致します!!」

そう言ってもう一度跪けば、姫様は嬉しそうに微笑まれた後に先程の白龍のような不機嫌そうな表情に変わった。コロコロと表情を変えて可愛らしい方だ。

「友達はそんな他人行儀なものでは無くってよ!貴方が白龍にするように私のことも姫ではなく友人として接しなさい!」

その言葉に応えようと口を開こうとするも、相手と自分の立場の差に一瞬躊躇うが本人のご所望なら許して頂けるだろうと恐る恐る声を発する。

「………ん、これからは友達として宜しくな、紅玉。」

一国の姫君にタメ口を使い、呼び捨てにするなど首が飛ぶ覚悟だったが呼ばれた本人は史上最高の可愛らしい笑顔で「うん!」と言うのだった。









[ prev / next ]
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -