皇子との再会


煌帝国から今日、白龍がシンドリアへ留学生としてやって来る。即ち半年ぶりの再会になる訳だがどうしてか俺は今シンドリア王国の城下町を全力で駆けている。そう、迷子だ。

王宮の皆さんと共に港へ向かえば良かったのだが不運な事に寝坊してしまったのだ。これはいかん。
出迎えの人達の中に俺が居ないとバレれば白龍の機嫌は一気に奈落の底に落ちかねん。
俺は持ち前の飛び抜けた運動神経をフルに活用して全速力で走って走って走って走って………



港へ着いた時に目に飛び込んで来たのは、落ち込む夏黄文を慰める目を赤く腫らした紅玉と、煌帝国を代表してお詫び申し上げるとか言ってる幼馴染みの姿だった。
俺はこそっとジャーファルさんの後ろの方に隠れるとジャーファルさんは俺に気付いて「お寝坊さんですね」と笑った。
その時に顔を上げた白龍とバッチリ目が合う。そしてその瞬間白龍は驚く程の速さで俺の腕を掴んだ。流石のジャーファルさんもあまりの速さに呆然としている。そして白龍は俺を引き寄せると力いっぱい抱き締めてきた

「綺月…綺月……っ、また会えた…!」
「おう、白龍久しぶり…半年前から背伸びたな…最後に会ったときは同じくらいだったくせに。」

ぽんぽん、とあやす様に背中を叩いてやると白龍は「綺月の薄情者」と呟いたのだった。




白龍がどうやら駄々をこねたようで白龍の部屋に今日から一緒に泊まることになった。半年間生活していた思い入れのある部屋と別れるのは少し名残惜しかったが窓のない部屋はまるで俺が王族時代に閉じ込められていたあの部屋のようで息が詰まりそうだったから俺的にもいい事だったのかもしれない。
取り敢えず荷物を整理して白龍と向き合う。

「なんで俺に黙ってシンドリアに渡ったんだ。」
「俺だって当日にいきなり言われたから忙しかったんだよ。」
「だからと言って、今まで10何年も連れ添って来た幼馴染みに言わずに出て行く事はないだろう」

白龍は完全にご機嫌斜めのようだ。悪かったって、と俺と同じような格好で背丈は俺よりも高くなってしまった幼馴染みを見詰めていると丁度良くあのアラジン達がやって来た。

少しアラジン達と白龍が話しているとアリババがこっちを向いて、「綺月は此処に移ってきたのか」と聞いてきて「ああ、そうだな。」と答えたところで白龍から、アラジン達に見えないように酷く強く手を握られる。凄く痛かったのだが我慢していると白龍がシンドバッドさんに呼ばれたので一時的に解放された。







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