あいつが消えた日




朝。俺はいつも起こしてくれる幼馴染みを待って少し早めに起きたがベッドの中で惰眠を貪る事にした。俺は綺月に起こされるのが結構好きだ。

でも、期待に反して俺を起こしに来たのは綺月ではなく名も知らぬ官女だった。
綺月に何かあったのだろうか。まさか体調を崩して起きれないとかもしれない、と入って来た官女に綺月の事を聞けば、あいつは昨夜からシンドリア王国に向かって旅立ったと言う。なんだそれ、そんなの聞いていないぞと戸惑いながらもとりあえず官女には退室してもらった。


あいつがシンドリアへ……?どの位で帰国するのだろうか。このまま帰って来なかったらどうしよう。向こうで恋人が出来たりしていたら……?考えれば考える程に苦しくなってくる。どうしよう、どうしよう。何ならもう引かれる覚悟で告白でもしておけば良かったと後悔の念が渦巻く。

そして養父である皇帝陛下の元を訪れて頭を下げてシンドバッド王国への留学頼み込む。
元からシンドバッド王には用があったのだ、絶好の機会だと思ったのだ。
すると皇帝陛下は紅玉が婚姻に失敗したからその関連の話で近々シンドバッド王が煌帝国へ出向かれるそうで、その際に話してみようと快諾してくださった。

この時ばかりは縁談に失敗なさったという義姉上に感謝をするしかなかった。











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