あ。あれは。



部活終了後、忘れ物に気づいて一人でグラウンドへ引き返していた春市は、あるものに気がついた。

自分の行く手を阻む、小さくて茶色い、もふもふした物体。


「野良猫…かな?」


春市がそっと近づくと、猫は、ふしゃあ、と毛を逆立てて威嚇する。


「大丈夫だよ」


怖がらないで、俺は君の味方だから、と呟きながら、一歩一歩、猫に近づいていく春市。猫のほうも次第に、春市に対して警戒心を解き始める。


「おいで」


あと一歩、というところまで猫に近づいた春市は、その場に屈み込んで、ふわっ、と腕を広げた。



…ぽすっ。



一瞬の間が空いたあと、春市の腕の中に、野良猫がゆっくりと収まった。すり、と腕に顔を寄せる姿が可愛らしい。春市の口元も自然と緩む。














「…金丸っ!カメラ!カメラ早く!」
「待て、落ち着け東条…俺たちが騒いで猫が逃げたらどうすんだよ」
「東条!この俺の、カメラ機能付き携帯を受け取れえぇ!」
「…それ、今の時代当たり前だから…」


春市から脇に数メートル逸れたところで騒ぐ一年生四人。春市を探してやってきたところ、ばったり猫と戯れている場面に遭遇したというわけだ。




「…何やってるの、みんな」
「春っち!」「「小湊!」」「…!」


四人のところに、猫を抱き上げて呆れ顔の春市が歩み寄る。なでなで、と猫の頭を撫でる手は休めることなく。



「東条今だああああ!」
「任せろ沢村あああ!」





ぱしゃ。



「ナイスショット俺!」
「待ち受けにしよーぜ東条!」
「あ、俺にも送ってくれよ」
「…僕にも」
「み、みんな?」


困惑気味な春市の肩を、がし、と東条が掴む。もちろん、猫が怯えて逃げ出さない程度に。


「小湊…俺は、これだけは言うつもりはなかった。けど信じてくれ。この言葉は決してお前を貶してるわけじゃないんだ!人類普遍の事実なんだ…!分かってくれ!」
「と、東条くん?」
「お前…」





可愛すぎるんだよおぉ!





「猫と戯れる小湊とか…反則!」
「あの近づいてくとことかな!」
「…ムービー、撮ってある」
「「でかした降谷!」」



春っちとにゃんこ
(…いや、あいつら悪気はないんだって)
(…うん分かってるよ、金丸くん…)









春にゃん写メはこのあと、
沢村→倉持→亮介 のルートで
亮介の待ち受けに収まります。
みんな春市が大好きなんだよ!
( 健 全 な 意 味 で ! )



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