「やっぱ実力か?」
「いや顔だろ!」
「性格と顔のギャップか?!」
「つまりは顔か!」
「顔なんだな〜」
「やめろ悲しくなる!」


青道高校、昼休み。野球部の一部の二年生たちは、熱い議論を展開していた。

事の発端は、小野の放った一言。


「…なあ、何で御幸はモテるんだ」


名門・青道高校野球部。そこの部員ともなれば、当然普通の高校生が経験するであろう甘酸っぱい"青春"などというものとはまるで無関係、野球漬けの三年間を送ることになるはずである。彼らはそうなることを自ら選んだわけだが、若干一名、それも同級生に、例外がいるのだ。


御幸一也。顔のよさと野球の実力、そして性格の悪さには定評がある。

しかしそんな御幸のモテっぷりといったら、全校でも指折り。彼らはそこにどうも納得がいかないようだ。


「だってあんな性格なんだぜ?!」
「所詮顔なのかよ、畜生、女子…!」
「何も分かってないんだな〜」
「まだ、まだだぜ、」


川上や白州がモテるんなら納得いくんだよ俺は!と、当の二人をびしっ!と指差しながら小野が叫ぶ。周りも、うんうん、と頷く。


「…えっ?俺?」
「?」


自分たちには関係ないもの、と傍観を決め込んでいた二人はきょとんと小野を見つめた。


「お前ら…モテるか?告られたことあるか?」
「いや、ないけど」


川上が答え、白州もふるふると首を横に振る。


「なぜだ?レギュラーだし性格も控えめで優しいこいつらがモテないで、なんであんな性悪変態眼鏡の御幸がモテるんだ!モテモテパラダイスなんだああ!」


「はっはっはっ、悪いなー小野」
「ヒャハ、楽しそーじゃねえか」
「お前ら何の話しとんや…」


小野が空に向かって吠えると、当の御幸と、御幸と一緒だったらしい倉持と前園がふいに現れた。


「変態は撤回してくれよなー」
「く、御幸…!」
「モテる秘訣、教えてやっからさ」


御幸の言葉に、議論していた二年生全員(無論、川上と白州は除く)が食いついた。


「「「教えてください、清廉潔白イケメン眼鏡の御幸様!」」」
「しょうがねえなー。秘密にしてくれよ?」


こくこくこくっ。


「実はな…」


ごくり。


「球児は眼鏡かけたらモテるんだぜ」













その日の部活の始め、二年生のほとんどが眼鏡を着用しているのを見た監督の放った一言。


「…何のアピールだ?」


くくくっと面白そうに笑う御幸を、倉持と前園は呆れ顔で見ていた。


「…倉持」
「何だよ、ゾノ」
「やっぱ御幸って、性格悪いわ」
「ああ、死んでも直んねえよ」




二年生's


(((畜生、御幸…!)))
(甘いなお前ら、部活中はサングラスだぜ?)
(((はっ…!)))
(いやもう信じんなや!アホかお前ら!)










川上白州コンビには多分
影から見守るファンが多数。



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