「御幸くん、修学旅行来ないんだ」

放課後、職員室に呼び出しを受けたあと部活に行く準備をしていた俺に投げかけられた言葉。顔を上げると、後ろの席のみょうじがいた。

「んー、まあ勝てば試合だし。どっちにしろ、四日も練習できないんじゃ勘鈍るし、俺は残るつもり」

まあ当然勝って残るけど、と心の中で付け加える。

「そっか、残念だね…」
「まあね。…あ、でも」
「え?」
「どうせ旅行自体より恋愛イベントがメインになりそうだし」
「あはは、御幸くんモテるもんね」
「参るよほんと…まあ、みょうじもそんな感じじゃね?人気あるし」
「え?!いや、私なんてそんな全然…」
「可愛いのに」
「可愛くないって」
「分かってねえなー」

一瞬の沈黙。みょうじがぽつり、と呟く。

「御幸くんが行かないんなら、私も残ろうかなあ」
「へ?」

思わず持っていたノートを取り落とす。腰をかがめて拾っていると、頭上でみょうじがくすくす笑う声がした。

「冗談」
「何だ、びっくりした…みょうじファンの全男子が泣くからやめとけって」
「そんな人たちいないけどね…御幸くんの分まで楽しんでくるよ」
「写メいっぱい送ってくれよ」
「…私、御幸くんのメアド知らないよ?」
「あ、そうだっけ?じゃあ教えて」

慌てて携帯を取り出してボタンをいじるみょうじ。今度は俺が笑う番だった。

「焦らなくて大丈夫だって」
「でも」
「俺は逃げないよ?」
「逆!結構引きとめちゃった。早く部活行かなきゃ」

まあ、先輩たちがいた頃はちょっとの遅れでも説教は必須だったからな、と心の中で呟く。これも最高学年の特権ってやつか。

「か、帰ったらメールするね」
「おう。番号もよろしく」
「う、うん…」
「じゃー写メ頼んだ…あ、違うわ」
「?」
「写メじゃなくてもいいから、いつでもメールちょうだい」
「え?」
「修学旅行中に変な虫がつかないように俺が東京から見張っててやるから」

何それ、と笑うみょうじにじゃあね、と手を振る。小さく振り返すはにかんだ表情が、やけに可愛く見えて、俺はすぐ教室に背を向けて走り出した。







Magia of Viaje
(修学旅行の魔法を前借り)






「お、御幸。呼び出し済んだのかよ」
「まーね…なあ、倉持」
「何だよ」
「修学旅行なんか行かなくたって起こるもんなんだなー」
「なにが」
「…ラブハプニング?」

何だそれ気持ちワリィな、と倉持から繰り出されたタイキックを華麗に避ける。

「俺なんか今日頑張れそうかも」
「いつも頑張れよ」
「はは、ごもっとも」












久々すぎてまとまらず。
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ラブハプニングはなかったけれどね(^q^)



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