ちりん、ちりん。
誰もいない夜道で、意味もなく自転車のベルを鳴らしてみる。
何でこんな時間にかよわい女子高生(自分で言って虚しくなった)が一人で自転車走らせてるかって、寮生の勉強会に参加するためだ。
『悪いんだけど、降谷と沢村に勉強教えてやってくんね?』
御幸からのいきなりの呼び出しに応えてあげるあたしって、何て優しいんだろう。今度ジュース奢らせよう。
青心寮の手前まで来て、御幸に電話をかける。
『はーい。着いたの?』
「うん。どこ行ったらいい?」
『5号室。場所わかる?』
「あ、大丈夫。じゃあ、行くから」
5号室は倉持の部屋だ。
ノックをして中に入ると、男ばっかり5,6人がわらわらと屯していた。
「来た、救世主!じゃあ俺はこれで!」
御幸が、あとは頼む、とあたしに言って、もう一人いた一年生(確か、金丸くんとか言ったっけ)と一緒に、入れ違いに出て行った。
残されたのは、沢村くんと降谷くんと倉持。(増子先輩はすでに寝ていた)
「御幸の言ってた救世主ってなまえかよ。ま、俺ももう寝るわ」
こいつらマジやべえから頑張ってくれよ。
いつも通りにヒャハッ、と笑って、倉持はベッドに潜り込んだ。
「じゃあ、始めよっか」
「…あ、沢村、力尽きました」
「ええええ早い!ど、どうしよ」
「今のうちにやっちゃいましょう」
「(すごいライバル意識!)」
降谷くんは、確かに倉持の言った通り(失礼だけど)だった。教えがいがあると言ったらある…のかな?とりあえず、分からなかったら寝たふりをするのはやめてほしい。
「じゃあ、このページ終わったら今日は終わりにしよっか」
「あ、はい」
降谷くんは黙々と問題を解いていく。さすが投手だけあって(?)、すごい集中力だ。
「先輩、最後の大問が…」
「ん、どこ?」
降谷くんの手元を覗きこもうと顔を近づける。
すると、
ちゅっ
ほっぺたに柔らかい感触、一つ。
「…!ふ、降谷くん…?!」
「先輩、ずっと好きでした」
赤点なかったら、続きさせてくれますか?
耳元で囁く降谷くんに不覚にもどきどきしてしまったあたしは、思わずこくんと頷いた。
口づけひとつ
(ヒャハッ、うまくいったみたいっすね)
(うが!)
(はっはっはっ!降谷、やるじゃねえの!)
(沢村はマジ寝してますね…)
(…zzz)
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まあ、赤点取るんだけどね!←
春市出せなかった…!
一年生可愛いよね、癒し。