「はい、謙也。始め。」

「……はい。」

俺は白石の言葉に頷いて、跪く。
あぁ、大丈夫です。これは俺らの中では常識。というか儀式?みたいなモンなんで。

「白石すき、大好き。あいしてる。白石は?
俺の事ちゃんと好き?大好き?愛してる?俺、不安で不安でしょうがない…白石に捨てられたら俺、生きていけない。やだ、お願い、早く言ってよ。早く、早く。しらい……っ!!」

グッ、と上から威圧感。踏まれてます、俺。
白石曰く、恋人だったらこんな事も耐えられるハズやろ?ですって。
てかさっきの台詞。ぜーんぶ白石が俺に想ってる事だから。
前にさっきのにもっと台詞を足したような言葉を言われた事がある。
すんごい必死だった。
見捨てられたら生きていけないのはきっと彼だよ。
言われた時、それは告白の時だった。
もちろん、白石から俺への。
俺は白石の事はフツーにすきやったけど愛してる、ではなかった。
断ろうと話を別れに切り出した瞬間、白石はジャージからカッターを取り出した。
馬鹿な事はやめろやアホって言っても白石は聞いてくれんかった。
それどころかチキチキ、とカッターのナイフの部分が出てくる音がして、流石にこれはヤバいと思った。
もう彼に何を言っても通じない、残る術は…………

それが付き合った理由。おわり。
だから白石の事、別に大好きでもないし、対して愛していないワケですよ。
でも白石と付き合う事を止めたら……死んじゃうでしょ、彼。

だから白石の要望、願い、何でもやってきた。
その結果がこれ。

俺が思うに、彼は求めて欲しいんだと思う。自分自身を。
見た目や、プレイとかじゃなくて、ありのままの自分を求めて、自分に依存して欲しいんだと思う。
優越感が欲しいのかと。

これが彼の歪んだ愛情表現だとするのなら、俺は受け入れるよ、いち恋人として。



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(わざわざ確認しなきゃ確信出来ない恋なんて……)
 
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