その日の授業を終え、今日も家庭科室でバスケ部への差し入れを作る

…そういえば、黒子くんはその後どうなんだろう…

そんなことを考えながら差し入れを作る手を進めていると、ガラリと音を立てて家庭科室の扉が開いた

「おい、江藤」

『え?宮地先輩…?』

どうしたんだろう、つい先日差し入れの相談をしたばかりなのに…

『どうかしたんですか?』

差し入れを作るのを一旦中断し、手を洗ってから宮地先輩に近づく

「…いや、木村達にお前の様子を見て来いって言われてよ…」

『木村先輩達に…?』

…あぁ、宮地先輩の練習のし過ぎの防止かな

なんて思いながら、家庭科室内へと入ってもらって、とりあえずお茶を出した

『練習の調子はどうですか?』

「あぁ、問題ねぇよ。…けど…」

宮地先輩がこめかみをぴくぴくとさせている…

『けど…?』

先を促すと、なんと今日の緑間くんのおは朝のラッキーアイテムが、狸のしがら焼きなんだそうだ…

「…ったく、あんなのどこで見つけてくるんだよ…」

『ふふ、確かに狸のしがら焼きなんて普通は売ってませんよね』

思わずくすりと笑みを零してしまった

「…」

『…?何か…?』

宮地先輩の視線を感じ、首を傾げる

やっぱり笑ったの失礼だったかな…

なんて内心焦っていると、宮地先輩がふと笑みをこぼした

「…お前、やっと俺の前でも笑うようになったな」

『え…?』

「お前、俺の前だといつも怖い顔してるからな」


大方怖い先輩だと思われてるんだろうが…なんて若干気まずそうな宮地先輩

『す、すみません…』

推しだから緊張してます、なんて言えないし…

苦笑を零してお茶を濁す

「別に良いぜ。慣れてくれたみたいだしな」

そう言ってニカッと笑った宮地先輩に、私も笑みを浮かべた




〜宮地side〜

「はぁ?江藤の様子を見てこい?俺がかよ…」

とある放課後、部活中のことだ

突然木村に言われた

「嗚呼。試合が近いから意気込むのも分かるが、流石に練習しすぎだぞ」

わかってると思うが、練習のしすぎで怪我なんかしたら笑えないだろ、と木村は言う

「いや、分かってるけどよ…だからってなんであいつの所なんだよ?」

「だって此処に居たらお前は黙ってられないだろ」

「いや、それは…」

「ほらな。さっさと行ってこい!」

バシッと木村に背中を叩かれて、体育館から追い出されるようにその場を後にしたのだった

家庭科室に着くと、俺は音を立てながら扉を開けた

すると、そこにはエプロンを付けて何かを作っている様子の江藤が居た

江藤に問いかけられて、江藤の様子を見に来たことを伝えると、ついと言った様子で苦笑していた

そのままお茶を入れてくれた江藤に促されて、家庭科室の椅子に座る

俺が緑間のたぬきのしがら焼きの話をすると、江藤は可笑しそうに笑った

……こいつ、こんな顔して笑うんだな

「…お前、やっと俺の前でも笑うようになったな」

俺がそう告げると、江藤はきょとりと目を丸めて驚いた

『え…?』

「お前、俺の前だといつも怖い顔してるからな」

そう笑ったあと、少し罰が悪くなって"大方怖い先輩だと思われてるんだろうが…"と呟くと、江藤は苦笑しながら謝ってきた

『す、すみません…』

「別に良いぜ。慣れてくれたみたいだしな」

そんな江藤に、俺は笑いながらそう告げたのだった






突然の訪問

(びっくりした…)


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