執務室でアーサーさんが着替え終わるのを待っているときだった。
「あ、写真…」
窓際に飾られた沢山の写真。
アーサーさんと…かわいい男の子がいる。
「…従兄弟かなにか…かな、それか弟?」
なんだろ…。
写真を眺めていた、時。
「なんだい?!別にいいじゃないか!」
明るい男性の声が聞こえる。
エリザさんと、その男性の声。
「ですから、まだと…」
「えーアーサーが遅いのがわるいんだぞ!」
足音と声が近づいてきて、バタンと執務室のドアが開かれた。
「ワオ!誰だい君!」
現れたのは眼鏡と大きな声が特徴的な整った顔立ちをした男性だった。
写真の男の子と酷似している。
「え、えと、昨日よりアーサーさんに遣えているメイド…です。」
なんか、これ自分で言うの恥ずかしいな…。
「へえ!新しい子か!」
「はあ、」
新しい、と言うのは国に帰った子を知っていると言う意味合いだろう。
「…な、なんですか?」
じとーっとした視線が長時間私に向けられる。
イケメンに見られるのはやっぱり女の子として照れる物がある。
彼、凄くかっこいいし。
「君、可愛いね!」
「そ、そりゃどーも…」
突然の誉め言葉に、照れた。
ていうか…思ったけど私ここに来てからイケメンさんにしか会ってない気が…。
アーサーさんは言わずともだし、フランシスさんもはあはあしてたけど顔立ちは申し分ない。
エリザさんの言うローデリヒさんも綺麗な人だったし、彼も。
…ここはイケメンパラダイスかこのやろう。
「ねえ君、アーサーは何処だい?」
「え、アーサーさんは今着替えてるのでもうじき…」
言いかけたときに、寝室のドアが開いてアーサーさんが現れた。
ナイスタイミング、と言うやつだ。
「な、なんでお前もう来てんだよ!」
アーサーさんは男性に指をさした。
人に指向けちゃだめですよ、アーサーさん。
「君があまりに遅いからね!」
「アルが早いんだよ!」
ん、アル?
アルって…。
「あの、アーサーさん。彼が寝言で言ってた“アル”さんですか?」
「「え」」
視線が私を貫いた。
「なんだい君っ!その年になってまだ俺を夢見るのかい?!キモっ」
「き、キモいとかいうなばかぁ!仕方ないだろ!」
「大体なんで俺の写真飾ってるんだい、ストーカーかい?!」
「ちげえよばかぁ!…っぅ、ばかぁ!」
勝利、アル(仮)さん。
アーサーさんはポギャブラリーが少なくてメンタルが弱いらしい。
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