「さ、此処が花子ちゃんの部屋よ!」
と言ってもメイドは一部屋なんだけどね、とエリザさんは付け加え、中へ誘った。
「あら、エリザさん、そちらの方は…」
中に入って、エリザさんに話しかけたのは、短髪にリボンの金髪の女の子だった。
「例の子よ。花子ちゃん、この子はリヒテンちゃんよ。」
「はじめまして、リヒテンです。」
「よ、よろしくお願いします…」
「花子さんの方が年上ですので、敬語は結構ですよ。」
「え、あ、はい」
「で、奥の黒髪の子が湾ちゃん。」
奥の、と指された先には絵を描いている黒髪の女の子。
私の視線に気が付いたのか、駆け寄ってきた。
「はじめまして!花子ちゃんよね?よろしく!あたしのことは湾ちゃんってよんでくれていいわ!ところで花子ちゃんて漫画すき?」
「え、うん」
「ほんと?!やった!気ィ会うかもー!」
キャ、と笑う湾ちゃん、おしとやかなリヒテン…ちゃん。
「それで、今は部屋に居ないんだけどナターシャとライナちゃんもいるのよ。」
他にも数名いるんだけど今は国に帰ってるから、と付け加えた。
「さっ!花子ちゃん!片付けしよ!」
「手伝います」
「そうね、それが先だわ。」
「うわ、」
私のスペースらしき場所には、段ボールの山があった。
「これ…」
中身は見たことがないけどセンスのいい服。
私服とメイド服が入っていた。
バリエーション豊富でかなり着まわしできる。
「ふふふ、アーサーさんってばあ!」
「え、アーサーさん?」
湾ちゃんの笑った理由が分からず、問いかける。
「うん!花子ちゃんのものはアーサーさんが買ってるのよ!女の子だから気使ってんのね!めっずらしー!」
「なんか、悪いな…」
こんなに沢山、しかもみんなかわいい。
きっと高いのだろう。
「大丈夫ですよ、アーサーさん、先程紅茶をお持ちしたら花子さんのことを嬉しそうに語ってらして、よほど気に入っているのでしょうね」
三人はによによしながら私を見てこそこそ話している。
何を話しているか気になったけど、聞いちゃいけない気がして、用意されたクローゼットに服を詰め込んだ。
「アーサーさん、なんて?」
「花子さんは家庭に事情があるから心配だのなんだのと少し嬉しそうに。途中から花子さんの魅力に変わってました。」
「キャっ!やっぱりアーサーさんが花子ちゃんをメイドにするよう頼んだ説はホントなのかしらっ!」
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