アーサーさんの部屋を出た私は、即座に後悔した。



…迷った。



この家広すぎる。


メイドを雇うほどなんだから当たり前だけど、広い。


「…どうしよ。助けてエリザさん…」


家中同じような扉しかないからどこを通ったかわからない。


畜生分かりにくい家だなー


「お困りかな、お嬢さん」


ぽん、と肩に手を置かれ、振り向くと


「へ」


ダンディーなおじさま、ではなくはあはあした変態くさいおっさんがいた。



「いやああああああああっ!変態いいいいい」


「ちょ、え、どうしたの子猫ちゃん?!」


「触んなあによによすんなあ!ひいーエリザさん助けてぇ!」


「え、子猫ちゃんエリザちゃんと知り合い?ていうかメイド服いいよメイド服超お兄さんの好み」



またもやはあはあする自称お兄さん。
此処のコックさんなのか、それっぽい格好をしていた。



「どうしたの花子ちゃんっ?!」


ずだだだだ、と遠くで音がする。



それは一瞬で消え、代わりにナニかをナニかで殴り付けるような音がした。


例えるならば、フライパンで人の頭を殴ったような。


「ひいい、エリザさあん!」


殺気に満ちたエリザさんは、私が名を呼ぶと花の咲くような笑顔に変わった。



「大丈夫よ!ド☆変態成人エロティックフランシスは私がフルボッコにしたから!」


「どへんた…え?」


「ち、ちが、ていうかエリザちゃんまた力ついたねはあは」

ガンッ


「う゛っ」




…。


容赦ねぇー…。



「え、えっと、大丈夫ですか?ド変態さん。」



ちょっと心配になり、しゃがみこんでド変態さんをみた。


「ド変態じゃありませんーお兄さんにはフランシス・ボヌフォワというかっこいい名前があるんですぅー」

「じゃあフランシスさん。あなた…コックさんですか?」


「ちょ、花子ちゃん近づいたら孕まされるわよ!」

「エリザちゃん酷ッ!」


エリザさん容赦ないなあ…。



「まあ、お兄さんは愛の戦士兼カークランド家のコック長だよ。で子猫ちゃんの名前は?日本人だよね」


「あ、はい。山田花子と言います。フランシスさんは…」


「んー?お兄さんは愛と芸術の国、フランス人!」


ああ、だからコックさん。


「ところで花子ちゃんはこのあと…」
「じゃあいきましょう、花子ちゃん」



真っ黒な笑みを浮かべたエリザさんは綺麗だけどほんのすこし恐怖を感じました。











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