しばらくして、ライナさんとエリザさんも部屋に戻ってきて、私のデート作戦が始まっていました。
「やっぱりここは女の子らしくピンクのワンピースにこのパンプスを…」
「そんな短いスカートじゃ見える。」
「このくらい短いのはいてー中にレギンスはいたら…」
「あーそれいいかもっ!!」
本人である私よりもデートの服選びに夢中になっている皆さん。
ピンクに黒レースのワンピースに決まったみたいです。
ちなみに拒否権はなさげ。
「てなわけで花子ちゃん!これ着てきて!!」
「……あ、はい……。」
なんかされるがままになってるなあ、私。
5分後。
その服を着てベッドの脇のカーテンから顔をだす。
きらきらと期待に満ちた目で5人は私を見るけれど――
これ無理!!!!
なにこれこのフリッフリのレース!
こういうのはリヒちゃんみたいにかわいい子が着るべき!!
レギンスをはいているにしてもスカート短すぎるしそんなのナターシャちゃんみたいな美脚の人しかはけないしなんか地味に胸元でてるしそんなライナさんとかエリザさんみたいなすばらしい胸がないのにこんなことしてたらなんだか残念だしこんなキラキラかわいいアクセなんて湾ちゃんみたいなオシャレな子にしか似合わない!!!
そんなくらいすばらしいコーディネート。これ、服がかわいそうだってば!
「どーしたのっ?」
「いやいやこれ湾ちゃんなんかもうだめだってこういうのはかわいい子しか着ちゃいけないんだよ。」
「そんなことないってば!てか花子ちゃんに絶対似合うようにコーディネートしたんだもん!」
「でもこれ絶対なんかおかしいってこんな脚だしたらダメだって。」
「もー!うだうだ言わないっ!」
湾ちゃんの白い手が私の腕をぐい、と引いてカーテンから離させる。
白いカーテンは舞って私の前から姿を消した。
「わぁ!かわいいじゃない!」
「さっすが花子ちゃんね」
「似合う。」
「素敵です花子さん!」
おおー、と声をあげる皆さん。
いやいや、この脚じゃ公害ですって。
「花子ちゃんは謙虚すぎなの!もう!胸張らないともったいないし!」
「いやいやない胸張ったって」
「そーいうことを言わないの!」
ぺちん、と私の背を軽く叩いて、湾ちゃんは笑った。
いやほんと、これほんと無理。
「もーかわいい!アーサーさんに見せんの勿体無い!!」
「え、それじゃ意味ないよ」
「そうだけどさぁ!」
るんるん、と跳ね回る湾ちゃん。
このデート、私より湾ちゃんが楽しみにしてません?
「それよりも!ねえどうすんの!?」
「とりあえずアーサーが何とかしないと無理だ。」
「そうですね。やはり男性のリードが鍵を握ります。」
「アーサーさん変なとこでヘタレるもんね…」
「ギルと似てるとこあって不憫だし…。」
うんうん、とアーサーさんが残念だ、というような言葉を並べられる。
いいんですかアーサーさん。すごい言われちゃってますよ。
「とりあえず、さり気なく手を握ってみるとか?」
「そうですね…とにかく自然に。」
「そんな恋人同士じゃあるまいし!」
「文句いわない。」
「あとはあれよねぇ。お化け屋敷できゃーこーわいって」
「うんうん!」
「でもアーサーさん逆に本物連れてるからね…」
「アーサーのほうが怖い。」
また言われてますよ、アーサーさん。
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