夜も深い10時。

掃除もすべて終えた私たちは、自室でお喋りをしていた。

メンバーは湾ちゃんリヒちゃんナターシャちゃん。

他の二人はまだ仕事だ。


ちなみに話の内容はオススメのケーキ屋さんとかギルさんの失敗談とか。

ギルさん……、がんばってください…。と言いたくなるような話が続いたあと、話題はわたしへと向かった。






「ねえねえ、花子!アーサーさんとは進展ないの?」




「……進展?」




湾ちゃんの一言。

キラキラした目は恋バナをする女子高生。

わたしが躊躇うと、リヒちゃんやナターシャちゃんもずい、と“その目”で迫ってきた。

リヒちゃんにそんな目をさせたらせざるをえないみたいな意識のあるわたしは、仕方なしに口を開くことになる。



「し、進展…って…。ん…と、こないだ、看病してもらったり…。」

「看病ですか?!」

「え、あ、うん、そう。」

「あのクソエロ野郎が…。」

「ナターシャちゃんクソエロ野郎って何?!アーサーさん?!」

「う、うん。紅茶、のんだり、とか…。うん、べつに…。」

「いいなあ!あたしもアーサーさんみたいなイケメンな彼氏ほしいなあー!」

「いや湾ちゃんならすぐできるよ、ていうかわたしとアーサーさん恋人同士じゃないし。」

「私は兄さんと結婚結婚結婚結婚結婚結婚結婚ケッコンけっこん血痕結婚結婚結婚結婚結婚結婚結婚…。」
「ひいっ!ナターシャちゃん怖い!」

「私はお兄さまがいらっしゃれば…。」

「……あのお兄さんじゃ恋人できそうにないよね。」

うんうん、と三人頷いて、話が止まる。


「ていうか!アーサーさんとは他にないの?」

「ほか、他にって…………デートに誘われ…」

「「「ほんと?!」」」



た、ぐらいしか…。と続く前にみんなが遮った。

い、息ぴったりだなあ…。


「そっか…そうだよね…。うん…。ていうかさあ、うん、べつに…」

「どーしたの花子。ぶつぶつ…。」

「………い、いやあ、ね?あの…これって、デート…な、のかなあ、と。」

「何故ですか?」

「だって…一方的にデートですよね!みたいなこと言っちゃったけどもしかしたら違うかもしれないし…。ほら、世界を支えるグループの会長とその下っぱメイドだよ?ありえない、って気がして…。」



そう言うと、しん、と黙り込む部屋。

三人は何処か悩みに思い詰めたような顔をして、ゆるく俯いていた。


「あれ、ナターシャちゃん?リヒちゃん?湾ちゃん」

「…………花子。」

「え」



「あ、アーサーさんってば…!そんなに女性を不安にさせて!」

「クソエロカス野郎…。」


えええ、いや、あの、なにがあったんですか…?

怒りに満ちたような残念なような…よくわからない悶々とした雰囲気が充満している。



「なんでアーサーさんはちゃんとデートだって言わないのよ!それで紳士を名乗るなんて!いつも不安になるのは女の方なんだから!」

「え、なにがあったの…?」

「湾は花子を不安にさせたクソエロカス野郎にイラついてるだけ。」

「………増えたね、悪口。」

「あーもう!こうなったらエリザさんとライナさん帰ってきたら作戦会議よ!花子とアーサーさんとの関係を見守る会義第一回!ドキッ☆初デート編!」


…あの、それなんなんですか。



「とりあえず花子!日時教えて!デートの作戦練るから!」

「あれ、本人の意見無視ですか。ていうかなんで二人頷くだけ?」

「がんばってくださいまし、花子さん。」

「クソエロカス野郎から金巻き上げろ。」

「酷い!」















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