ふかふかもふもふのベッドに顔を埋める。

アーサーさんのベッドはとてもやわらかかった。




あの後、私は恥らいながらもベッドにはいった。

その後しばらくは、本気で寝ようと目を瞑っていたが、アーサーさんからの視線と彼の気配が消えなかったのだ。

気になって、こっそり目を開けて見る。

暫く経ってもアーサーさんはいつまでたっても寝室から出ないし、

目こそはあわないが、ずっと、ずっとガン見されてるし

怪しまれないように、と寝返りをうてば頬を染められる。




なんで寝室から出ないんですか、

なんでガン見なんですか、

なんで頬染めてるんですか…!


監視ですか?監視なんですか??


別に私は変態ではないので、アーサーさんの臭いはあはあなんてフランシスさんのやりそうなことはしないですよ。

私は彼を何だと思ってるんだ。

話がずれた。



まあ…、やっぱりかっこいい男の人が寝てたベッドだし…。

アーサーさんは世界レベルの美青年だ。

まず、そんな綺麗な顔でガン見されたら世界中の2/3の女の子がときめくんじゃなかろうか。

ちなみに私もそのうちの一人である事を忘れないように脳に刻み付けておいていただきたい。

それに、そんなことをする女の子が世界に一人も居ないわけじゃない。



アーサーさんも見てるんだし、とこっそりバレない程度にアーサーさんを覗き見た。

彼は口元を緩ませ、太い眉をハの字に下げている。

やたら視線が胸と顔にある気がするのは気のせいだ。

じい、と見ていると何度もいうがイケメンだなぁ…と思う。

鼻筋は外国人特有なのか通ってるし、目は澄んでるし、ヨーロッパの人にも関わらず童顔。

見すぎかな、と思っていたら突然アーサーさんの肩が震えた。



やばい、ずっと見てたの…バレた?

とりあえずごまかそうか、と口を開いた。


「あ、アーサーさん…。」

「なな、なんだよ?!」


また肩を5センチほど浮き上がらせたアーサーさん。

震えすぎじゃないですか。

ちなみに、いまの彼はライヴィスくん並みに震えていたと言っても過言ではない。


「あの、いや、お仕事をされた方が…。」


ぱっとでた言葉がこれだった。

まぁ、ほんとうにただのメイドのために仕事が滞るのもいけないし、なにより、ガン見されるのは嫌だ。

私もしていたのだけど、最初はアーサーさんがしていたんだ。

アーサーさんがしてなかったら私もしてなかった!と自分を正当化してみるけどあまり意味がない。


「お…お前が、風邪引いてんのにシカトして書類に手ェつけられる、わけねえ、から…だよ!!ね、念のため一応言っておくけど、べ、別にお前の為じゃねえぞ?!」

「え…」


前半と後半すごい矛盾してませんか?



「……。」

「な、なんなんだよ…!あんまりみんなよ、照れるだろ…。」


頬を染めて軽くうつむくアーサーさん。

ちくしょう!女の私より可愛いとか思っちゃったじゃないか!


「いえ…まぁ、あの…。」


ストレートに見ないで、といえばいいのかもしれないけれど、私はメイドで、アーサーさんはご主人様。

そういうのは失礼なんかじゃないかと口にするのをとどめた。

とりあえず起きてしまったのだからと、たわいもない話をしようと思い、口を開いた。


「そ、そういえばアーサーさんてかっこいいですよね。」

「ふぇッ!?」


顔を真っ赤にして、いやいやいや、そうだけど、と首を振り回す。

突然ゴキッという怖い音がして、アーサーさんの首が止まった。


「か、かかかか、かっこいいとか…そ、そんな…!!」

「え、あ…いや、すいません…」

「なんで謝るんだよ…ばかぁ」


アーサーさんは何度も言うが忙しい人だ。

本当可愛いな…!

あ、そういえば、恋人とか居るんだろうか。


「アーサーさんて、彼氏居るんですか?」

「………は?」


目をこれでもか、と見開いて、私の肩をひっつかんだ。

私は寝ているので、必然的に天井とアーサーさんの顔が見えるようになる。


「え、あ、すいません。間違いました。かのじょ…」


バタン、



「アーサーちょっとはな、し…アァァァァァァサァァァァァア!?!?」




彼氏じゃなくて彼女ですね、と訂正しようとしたら、ノックもせずに入ってきたアルさん。

さっきのアーサーさんのように目を開いて、口はしをピクピクさせている。

ずだずだと高そうなカーペットを踏み鳴らし、アーサーさんの襟を引っつかみ、開いているドアのほうへ投げた。

アーサーさんのぐぁっという声が聞こえた。

私は上体を起こしてアーサーさんとアルさんを見比べる。


アルさんは、私の肩をつかんだ。



「花子!!アーサーにナニされたんだい!?」

「何もしてません!!!」













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