「あら、気が付いた?」


目覚めてすぐは、やけに大きな胸ときれいな女の人だった。



「え、」



そうだ、私…



「此処、」


「カークランド家よ。」



カークランド?

そういえば昨日乗った高級車に書いていた気が。



「花子ちゃんよね、私はエリザベータ。エリザと呼んで。」


「う、あ…」


ニコニコした笑顔は同姓の私もドキリとさせられるようなものだった。



「あら、どうかした?」

呆然とする私を気にかけ、エリザさんは問いかけた。

「い、いえ、エリザ、さんが…あまりに綺麗なので…」


正直な答えにエリザさんは小さく微笑み花子ちゃんもかわいいわ、と言った。


やはり彼女は綺麗な人だと思った。



「私はここのメイドなの。他にも数名いるけど後で紹介するわ。まずは、これに着替えて。」



エリザさんが取り出したのはフリフリレースにミニスカートの可愛らしいメイド服だった。

スカート丈は女子高生のスカートと同じか少し長いか。

メイド服、といってもエリザさんの着ている由緒正しき屋敷のメイドという感じではなく、なんというか、所謂萌え系だ。



「さあ、着替えて!気になるなら私は外に出てるわよ?」


「いえ、いいです。」


そう、と微笑んだエリザさんだが、私が遠慮していると思ったのか、私の方を向かなかった。


同姓だし、気にしないのだが。


するすると着ていたブレザーを脱ぎ、メイド服に着替える。

一番驚いたのはサイズがぴったりだったことだ。



「お、終わりました…」


エリザさんはくるりと私の方を向いた。

じっと見られてると恥ずかしくなるんですが。


「まあ!さすが本田さん!花子ちゃんにぴったりね!かわいい!」


「あ、ありがとうございます…」


本田さんという人は存じないが、エリザさんみたいに綺麗な人に誉められて悪い気がするはずはまずない、というか、嬉しかった。



「じゃあ、アーサーさんのところに行くわよ」


あ、アーサー?


「えっと、アーサーさんて誰ですか?」


さらりと告げられた名前には聞き覚えがなく、少しの不安に駈られた。


そう思うと私はこの1時間にも満たない時間でエリザさんに心を許していたのだと分かった。



「ふふふ、花子ちゃんのご主人様。アーサー・カークランド、カークランド家の…そうね、一番偉い人、かな。」




お父さん、私そんな偉い人に遣えるらしいです。














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