「ただいまかえりましたあー」

車なおしてくる、と言って持ってくれなかった大量のビニール袋を腕に提げ、フランシスさんの居る調理室へ向かう。
くそ、なんでこんなに遠いんですかアーサーさん。もっと近くしようぜ。

「あ!花子ですよ!」

自分でもおばさんと思う最中に見つけたのはシー君。
それだけじゃない。隣には背の高いめがねの男性と、丸っこくて中性的な男性が居た。普通にかわいい。

「シー君知り合い?」
「そうですよ!シー君のお姉ちゃんです!」

お姉ちゃん、その響きにどきどきした。
いや、私は断じてブラコンとか弟属性はないぞ。

「えーと、花子さん?」
「え、あ、はい!」

可愛らしい方の男性に話しかけられる。
くそう、女の私より可愛いんじゃないかな。

「えっと、シー君の親代わりの、ティノっていいます。こっちがスーさん、っていうかベールヴァルドさんです。」
「ん゛」

シー君の次はスーさんですか。
名前にまったく関係のあだ名は気にしないことにしとくべきだろう。

「あ、山田花子です。メイドやってます。」

ぺこりとお辞儀するとビクッと震えられた。
あ、お辞儀って日本だけなんだよね。

「ママ!シー君は花子の手伝いをするですよ!」
「えっ!シー君…」

だだだだ、と厨房に向かって走り出したシー君。かわいい。
え、ていうか…ちょ、「えっ」て言いたいのは私だ。
ま、ママ…だと?

「し、失礼ですけど、男性…ですよね?」

これで女性だったら私失礼な人だ。
でも、いくら中性的な顔とはいえ…女性じゃないと思う。

「あっ、僕は男なんですけど、なんかスーさんが僕をママって教えちゃったらしくて…紛らわしくてすいません」

なっ…って、ことは、ティノさんは男性にしてかわいらしいママをやっているということですか?
かっこいいな!そしてそんなティノさんを嫁にしちゃうベールヴァルドさんもかっこいいな!

「あ、あの、ベールヴァルドさん、」
「ん゛。スーでえ゛え。」

スーさん、と呼ばれるのが気に入っているようなので、失礼を承知でスーさんと呼ぶことにした。
スーさん、スーさん。なんだかかわいらしいあだ名だ。

「す、スーさんはティノさんの何処が好きですか…?」
「えええ?!花子さん、えええ?!」

ティノさんは顔を真っ赤に染め上げてあたふたする。
そういう姿が可愛いです、ティノさん。

「めんこいとごも゛、面倒見え゛えどごも。」
「おおお!!」

なんかもう新婚じゃないですか、お二方。

「まーまー!ぱーぱー!花子ー!なんの話ですか?!シー君はわかんねーですよ!」

私のビニール袋を引っつかんでだだだだだと厨房に駆け出したシー君はなかなかこない私たちに腫れを切らし叫んだ。

「ごめんシー君!今いくよー!」
「ん゛。もづ。」
「え、いいですよ!」

スーさんとティノさんにビニール袋を奪われ手持ち無沙汰。
二人は男性だからか、すごく力持ちで私が必死で持ってきたビニールをひょいひょいと持っていってしまうのだった。

とりあえず、三人が家族にしか見えません。



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なんか、典芬っぽくてすいません。




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