「で、何買うんだ?」
「…車だけじゃないんですか?」
なんでかついてくるギルさん。
別にいいんだけど、何だか彼は苦手だ。
「えーと、ハムとパスタと…」
「野菜はトニーが作ってるから要らねえな。」
「え、トニーさんて庭師じゃ…」
でもトマト持ってたなあ…。
農業でもしてるのかな?
「彼奴は庭も弄るけど何時もは野菜育ててんぜ。まあそれはフランシスから頼まれてんだけど。」
やっぱり農薬とか気にするのかな…
「とっとと買っちまうぞ」
紙に書かれた品を籠に詰め込む。
可なりの量があるけど、メイド用も入ってるのかな、アーサーさんは最高級のを食べてそうだし。
「これで全部だな。よし、行くか」
籠を奪い取ってレジに持っていくギルさん。
優しさなんだろうけど強引じゃなかろうか。
「一万二千五百円です。」
「えーと、」
鞄に入っていた二万円を出して会計。
レジ係さんはギルさんに
「はい、旦那さん持ってあげて」
とクスクス笑いながら言った。
「だ、旦那?!」
「ちげーよおばさん。」
「あらそう?お似合いねえ」
…。
その会話の後、車までの道のりには会話がなかった。
「あ、れ?」
車まであと数メートル。
そこで見つけたのは…
「フェリさん!ロヴィさん!」
「フェリちゃん!ロヴィ!」
くるんが可愛い兄弟、フェリシアーノとロヴィーノさん。
お父さんと二人のお祖父さんが知り合いなのだ。
「ヴェー!花子ちゃんとギルベルトだぁ〜!」
「なんでおまえら…」
フェリシアーノさんとロヴィーノさんは幼馴染みのお兄さんで、年上の筈なのに年下な雰囲気の二人が可愛くて仕方なかった。
ていうか、ギルさん知り合い?
「フェリちゃんまたおっきくなったなあ」
「そんな訳ないよ!俺成長止まったし!」
なんだこの叔父さん雰囲気のギルさんは。
久しぶりに会った孫やら甥やらを見るような目だ。
「おい花子、アイツとはどーいう関係だ。」
ロヴィさんは私の服の裾をちょいちょいとひいて目をあわせた。
「えっと、私色々あってメイドやってるの。んで、車。」
「だれが車だよ」
「ヴェー!花子ちゃんメイド服可愛いー!」
「俺の方が先に思ってたぞこのやろー!」
二人ともイタリア育ちで軟派な上にかっこいいから照れるなあ…。
ていうか、可愛い。
「フェリさんロヴィさん可愛い…!」
「フェリちゃんのが可愛いぜ!」
「「可愛いって言われても嬉しくない!」」
男だもん、と言うところが逆にかわいいよフェリさんロヴィさん
「よし!ねえ花子ちゃん暇?」
「ん?まあ時間はあるよ」
そういえば最近二人の店に行ってないな、と思いつつ答える。
ティラミスが美味しいんだよね、フェリさんの。
「花子ちゃんの好きなティラミス奢ってあげる!」
「うおマジで?!」
やった!久しぶりだな、フェリさんのティラミス。
「俺もトマトパスタ作るからな!トニーに貰ったのだぞこのやろー!」
え、トニーさんと知り合い?
なんだ、カークランド家の人意外に顔広いなあ…。
いや、フェリさんとこのイタリア料理は美味しいから人気なだけかな。
「こいつトニーに育てられたんだよ。」
「へえー。あ、そう言えば二人は違う人に育てられたんだよね。」
「うん!俺はローデリヒさんに、にいちゃんはトニーさんにだよー」
あれ、最近ローデリヒと言う名を聞いたような…
気のせいかな?
「取り敢えずうち来てー!ギルベルトも!」
「フェリちゃんの料理楽しみだぜ!」
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