「ねえ花子ちゃーん」

「げ、ド☆変態成人エロティックフランシスさん。


アーサーさんを起こし、今日は何もないかなあ、とメイド部屋に戻ろうとしたとき、フランシスさんに呼び止められた。



「まぁたそれ?お兄さん悲しいよー。」


しくしく、よよよと泣き崩れる風を見せたフランシスさん。

ストレートに言おう、キモい。


「なんですかフランシスさん。」

「ああ、花子ちゃん暇だよね?」


暇と言われれば暇ですが、
そう答えるとフランシスさんはよし、とお洒落な鞄を私に持たせた。


「そこに紙と金入ってるからその紙に書いてあるもの買ってきてくれる?あ、車出させるから。」


俺我が儘アーサーの飯の仕込みしなきゃなんねーの、ごめんね。

フランシスさんは私に鞄を押し付けた後、さっさと厨房に入ってしまった。


取り敢えず外に出向こうと思う。


そう言えばここに来て外出るの初めてかも。





外に出ると黒塗りの車が一台止められていた。


「お前!」


突然声をかけられ、主を探すと車の中からのようだった。

ガラスが降りて中の人物と目が合った。



真っ赤な目に金がかった銀髪。

こんな人間、見たことない。

赤目?銀髪?カヲルくんですか。



「花子か?」

「は、はい」



初対面のはずのカヲルくん(仮)は私の名を知っていた。

まあ、トニーさんも知ってたし、不思議ではないが…。


「チッ、可愛いっつーから来たのによ、ガキかよ。胸ねーし」



ムカッときた。さすがに。
なんで初対面の男に胸無いとかガキとか言われなきゃなんないの!
トニーさんみたいに優しくしてくんないかな!
絶対コイツモテないぞ。顔はいい方だけど。
アーサーさんが二枚目なら2.5枚目ぐらいだけど。


「乗れよ。フランシスに頼まれてんだ。」

「結構です!あんたみたいな胸と顔しか見ない人に乗せてなんかいりません!」


つい本音が滑り出る。

意味わかんね、と顔を歪ませてドアを開き、私の方へ近づいてくる。

腕を捕まれ無理矢理乗せられた。


ばたん、と重いドアが閉まって車は走り出す。


誘拐のような手口に吃驚したが、のせてくれるのだからと譲歩することにした。



「どこ向かってんですか。」

「何処だと思う?」



ムカつく受け答えしかしないのは目に見えていたので無駄に座り心地のいい椅子に身を沈めた。

何処かで、この人…。


「おじさん何処かで会った?」

「はあ?!俺様をおじさん呼ばわりなんか笑っちゃうぜ!俺にはギルベルト・バイルシュミットっていうかっこいい名前があるんだよ。ギル様と呼ばせてやらねえこともねえぞ」


「名前長ッ!何人?ギルさんて呼ぶよ。」


「長いとか言うな。ロシア人のが長げえよ。あとドイツ人だ。」


「へえ、ドイツ人に会うのははじめて。赤目に銀髪のドイツ人も。」

「俺様は特別だからな!ケセセセセ!」




取り敢えずギルさんはウザイ人だ。







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ギルは花子さんが最初にのってた車を運転してました。




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