メイド生活二日目、いや、ここに来てからは三日目。


やけに体が重い。


「花子!起きるですよ!」


高くて可愛い子供の声。


なん…だ…?



漸く覚めてきた目が捉えたのは、



「こ、子供?」



子供だった。

しかもアーサーさん似。とくに眉毛が。

紳士っぽい太めの眉毛に、アーサーさんとは違うサラサラの整った髪

「だ、だれ?」


小さな子供に訪ねる。


「シーくんはピーターですよ!シーくんと呼ばせてあげるですよ!」


「は?シーくん?」


私の上に馬乗りになる自称シーくんは何処からどう見ても小さいアーサーさん。
というか、ピーターの何処をどうとらえてシーくんになるんですかシーくん

それに普通に可愛いのだが…怪しい気がする。



「あの、君は「シーくんですよ」…シーくんはアーサーさんの知り合い?」


シーくんの野郎はとんでもない爆弾を投下した。


「アーサーの野郎はシーくんの兄貴ですよ!」



…え?

アーサーさんて兄弟居るの?!



「ええええ?!嘘ぉ!いや、顔はアーサーさんだけど、うえ?!」


な、なんだこれ!びっくり!


「今日はアーサーは一日仕事ですよ。」


「え?」


時計は7時15分を指しているし、エリザさんたちは居ない。

さらに起こされなかったということは…仕事…。



「わあっ!し、仕事!」


「花子は仕事するですか?」


そうだよ、とシーくんを私の上から降ろしてベッドを降りる。


メイド服に着替えるためTシャツを脱ぎ捨てた。
シーくんは子供だから大丈夫だ。


「あ、わ、花子っ…し、シーくんは、おとこのこですよ!」


だが当の本人は大丈夫ではなかったらしく、紳士に部屋をでた。


「き、着替え終わったら言うですよ!」


…アーサーさんも昔こんなんだったのかな。

な、なんかかわいい!

ショタコンとかではないけど子供はだいすきだから、ちょっとにやけちゃう。






「シーくん、着替え終わったよ」


軽くメイクも済ませたあとドアを開いてシーくんに声をかける。


「じゃあわたしアーサーさんの部屋に…」

「違うですよ!」


言いかけた時に仕事を否定された。

私の仕事はアーサーさんの世話らしいから紅茶持ってったりしなきゃ…



「今日のお仕事はシーくんと遊ぶことですよ!!」


ポケットから紙を取りだし私に押し付ける。

紙は、アーサーさんからの伝言でシーくんの遊び相手になれ、ということが記されていた。


「え、いや確かめに…」


「し、シーくんを信用するですよぅ…!」


さっき会ったばかりの子供を信用しろと言われても。


「じゃあ二人で手をつないでアーサーの部屋にいくです!今日のご主人様はシーくんですよ!」


「…わかりました、ご主人様」













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