「ねぇ、名前さん…」
金髪美少女にも見間違えるくらい愛らしい容姿をした少年、宮坂が私に迫ってきた。
宮坂は同じ陸上部の後輩だ。
笑顔がかわいらしくて、まじめで。
いい後輩だと思っていた。
だが、どこかから変わってしまった。
風丸が、サッカー部へいったあたりからだ。
一番、風丸を慕っていた宮坂から見たら、彼の行動は『裏切り』にも見えたのだろうか。
確かに、彼はサッカーを認めたはずだった。
フットボールフロンティアの試合を見た後、帰ってきた彼に感想を聞いたら、『サッカーには、あんなすごい走りをする選手がいるんですね!』と笑顔で答えていたのだし。
でも、なにかが違うのだ。以前の宮坂と。
「ど、どうした…の?」
名前さん、名前さんは、
「うらぎりません、よね」
ダンッ
宮坂は私を壁に押し付けた。
肩にズキリとした痛みが走る。
「だめですよ、ぉ。ほんと、に、名前さ、んは。ぼく、の、僕の、ぼくのなん、です、よ、ぉ、ぜったいにだ、めで、すよぉ…?」
目は虚ろで焦点が合っていなかった。
「名前さん、大好きですよ」
そういって彼は私に口付けた。