ぐぎゅるる、と間抜けな腹の虫の声がが紫原くんから聞こえる。
原因は緑間くん。
コート内でも平気でスナック菓子を食べる紫原くんを見てついにお菓子を取り上げてしまったのだ。
「お腹すいたー」
「コートの中で食べるからでしょ」
「自業自得っスよー」
「黄瀬くんは黙って」
「ヒドッ?!名前っち俺にだけ厳しくないっスか?」
「うざい」
「…もういいっス…」
黄瀬くんは私の辛辣な言葉にメンタルを傷つけられてフラフラとどこかへ去っていった。
いやいや、これはメンタル強化のトレーニングなんであって、私が黄瀬くんを嫌いな訳じゃあないよ。うん、いいわけとかじゃないからね。
「名前ちん、なんか持ってない?」
がばり、と効果音が付きそうな勢いで紫原くんが後ろから抱きついてくる。
お菓子がないからか、気持ちいつもより元気がない、ように見える。
「さっき飴あげたでしょ?」
「もう食べた。」
「…アレで最後。」
「むー…名前ちんのけち。」
「なんと言われようが無いものは仕方ないじゃない。」
「じゃあ」
ぐい、と私の顎を持ち上げて、無理に上を向かせる。
そこには紫原くんの(無駄に)美人な顔があって、言う間に距離がなくなった。
「名前ちん食べるから。それでがまんするよ。」
一発鳩尾に拳を入れたい所存。
---